- 作者: 田中弘
- 出版社/メーカー: 税務経理協会
- 発売日: 2004/08
- メディア: 単行本
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内容は大体こんな感じです
ファンタジーな題名の本書の内容は、時価会計を「亡国の会計基準」と断じて国際会計基準である時価会計(特に減損会計)の安易な導入に疑問を投げかけるもの。
時価会計は確かに国際会計基準には組み入れられているがそれを自国の会計基準に取り入れている国はあまりなく、それを確乎たる考えなくしてアメリカへの追随だけで会計基準に取り入れた日本の場合果たしてそれは正しい選択だったのか、導入の背景から他国の事例までを散りばめながら、減損会計の導入がどういう結果になるのかその結果を大胆に予測する。
不動産下落に始まって、回復しかけた景気の流れを逆戻りさせるのではと・・・。
確かに体力がある会社であれば某自動車メーカーよろしくドカンと大きな損失を計上した翌期には「V字回復!」を印象付けられるかもしれませんが、そうじゃない会社にとってはどうなのか・・・。資産・負債アプローチとか減損会計などは、どうも自分の中では馴染まないのですよね。まるで、昔の静態論に戻るみたいで。
B/Sをあるべき姿にというのはもちろん正しいと思いますが、やはり取得原価主義の方が個人的には自然なような感じがするのですよね。
阪神電車の「甲子園球場の土地簿価800万円」というニュースがありましたが、あれはあれで当たり前のような気がしますし。
そんなに含み益経営が悪いのでしょうか?(土地再評価法も使ってなかったということですよね。地震の後でも使わずに立ち直れたってことはやっぱり含み益をうまくつかったのでしょうね。)
おまけに減損損失は税務上も損金不算入という制度の中、「どうせ損失なら売却損にしてしまえ!」となって、著者の言うとおり不動産のさらなる下落を招かないのでしょうか。
減損会計の強制適用となる2006年3月期、まさしく来年はどうなるのか?現実感あふれた悪夢のシナリオに、ちょっと背筋が冷たくなります。