夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

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所得税法は「人情の税法」?

はてなの質問で以下のような質問があったので、軽い気持ちで回答してしまいました。

以下引用

所得税に関しての質問です。法人から個人へ土地の譲渡があった場合。この土地の時価を10、譲渡価格を8とします。

1.個人が法人の役員である場合、差額の2について、給与課税があると思うのですが、個人がこの土地を譲渡した際、取得費は8になるのでしょうか?

2.個人が法人の役員以外である場合、差額の2は一時所得、もしくは、その土地が不動産所得を生ずるものである場合は、
(土地)10/(現金)8・(雑収入)2
と、なる気がするのですが、個人がこの土地を譲渡した場合の取得費は10となるのでしょうか?

それに対する私の回答

ご質問の件ですが、

個人が譲渡する場合の取得価額は法人からの譲渡の際の対価と表裏一体の関係になると思います。


今回の契約が全くの任意で、法人側で時価課税されるのであれば個人の取得価額もその時価相当額である10。
また譲渡先の個人が全くの第3者でやむを得ず低廉譲渡をした場合や債務免除といった場合の様に、取引価額の8と時価との差額2が実質贈与の性質を有しない場合、個人の取得価額は取引価額である8になるかと思います。


ご質問の前提条件を拝見いたしますと、1、2ともに個人側で差額2が課税されており、実質贈与の性格を有しているかと推察されますので、個人側の取得価額は1、2ともに10になるのではないでしょうか。


個人的な感覚ですが、取得時に給与所得などで課税されている以上、譲渡時にもう一度課税される可能性は少ないのではと思います。

http://d.hatena.ne.jp/kobarin/

掲示板での簡単な書き込みだったので条文にあたらず記憶だけで回答してしまいましたが、
所得税法の取得価額は

  1. 贈与をした側が時価で譲渡したとされて課税される場合には、その時価
  2. 贈与をした側が時価で譲渡したとされない場合には、実際の取得価額

という規定があり、時価譲渡課税する場合には譲渡時に保有利得に課税してしまうことになっています


また理屈から言っても同じ源泉の保有利得に対して、取得時と譲渡時に課税することは同じ所得に対する二重課税になるため、「実際の取得価額=譲渡時の取得価額」とするのは難しいかと思います。
とはいえ、理屈が通らない規定があるのが「人情の税法」である所得税法。意外な落とし穴があるのかもしれません・・・。
掲示板の書き込みということでしっかり確認せずに回答してしまいましたが、まだまだ修行が足りませんね(笑)。