今日は少し早めの納涼企画、法人税で怖い話の一つである役員退職給与のお話です。
何が怖いかというと、
- まず一番怖いのは金額が大きすぎることです。その性質上何十年もの功労金の意味合いを持つので、必然的に大きな金額になってしまう役員退職給与。過大といわれて否認された日にはきっと顔面蒼白です。
- 二つ目に怖いのは、法人税と源泉所得税の往復ビンタになることです。適正であれば法人税での損金算入が認められるこの退職給与ですが、否認されて過大役員給与として全額加算されたことを考えると・・・、怖すぎます・・・。
- さらにもらった個人側でも給与所得と退職所得の制度の違いで、過大役員退職給与として破格の優遇制度がある退職所得から普通の給与所得に変えられたら・・・。想像するだけで背筋が寒くなります。
そんな恐怖の役員退職給与ですが
法人税法の規定は
法34条
内国法人がその役員に対して支給する給与(前項又は次項の規定の適用があるものを除く。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
それを補足する施行令は
施行令70条
2.内国法人が各事業年度においてその退職した役員に対して支給した退職給与の額が、当該役員のその内国法人の業務に従事した期間、その退職の事情、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況等に照らし、その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額
「それだけ?」といった感じの規定になっています。特にこの一文
一体どのようにして照らしたらいいのでしょうね・・・。
こんな厄介な役員退職給与ですが、一般的には「功績倍率法」と呼ばれる以下のような式で計算します。
退任時最終報酬月額×役員在任通算年数×功績倍率
しかし、こういった場合はどうするのでしょう?
こういう経歴の方がいます。
取締役 在任3年 最終報酬月額 30万円
取締役常務 在任4年 最終報酬月額 50万円
取締役社長 在任10年 最終報酬月額 100万円
取締役相談役 在任2年 最終報酬月額 10万円
こんな方に上記の算式をあてはめて最終報酬月額10万円で、19年間の退職給与を算定したら低すぎる金額が算定されてしまいます。
こういう場合、どうしたらいいんでしょうね?分掌ごとに計算したほうが合理的ということで認められるのか、難しいところです。