2月1日に中間報告が出ていた「中小企業の会計に関する基本要領」ですが、先日日税連でこれに準じた「中小企業の会計に関する基本要領の適用に関するチェックリスト」が公開されていたので、エクセルにしてみました。
「Yes」と「No」をマクロのボタンで選択できるようになっています。
→このエクセルシートは、こちらのホームページからダウンロードできます
この中小企業の会計に関する基本要領ですが、印象としては本来の会計を重視するようになってきたかなという感じです。
中小企業の会計に関する指針は簡略化しているとはいえ、時価会計の考え方を取り込んだりなどしていましたが、この中小企業の会計に関する基本要領は以下のチェック項目でも分かるよう、「取得原価主義」と「期間損益計算」という収益費用アプローチの大原則を一番に持ってきています。
留意事項にも企業会計原則が盛り込まれていて、いい感じです(*^^*)。
9.本要領の利用上の留意事項
本要領の利用にあたっては、上記1.〜8.とともに以下の考え方にも留意する必要がある。
- 企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。(真実性の原則)
- 資本取引と損益取引は明瞭に区別しなければならない。(資本取引と損益取引の区分の原則)
- 企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。(明瞭性の原則)
- 企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。(保守主義の原則)
- 株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。(単一性の原則)
- 企業会計の目的は、企業の財務内容を明らかにし、企業の経営状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることにある。このため、重要性の乏しいものについては、本来の会計処理によらないで、他の簡便な方法により処理することも認められる。(重要性の原則)
株主が同族で財産もほとんどない中小企業にとっては、清算価値がいくらかよりも、収益力がいくらかを測る会計の方がはるかに大事ですよね。
個人的にはいい方向に振れてきているなあという感想です(*^^*)。
本来の会計と言えば、最近読んだ田中弘先生の本。
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一定時点の資産・負債を求めるだけで、そこに至る過程を軽視する時価会計は会計でないという田中先生の主張はすとんと心に落ちてきます。
時価情報が必要ならば、貸借対照表に取り込まなくとも、別途財産目録でも作ればいいんですよね。
IFRS、田中先生の予言通り滅びてくれるのでしょうか・・・?