役員貸付金のデメリットについて説明することがあったので、ちょっとまとめてみました。
一番のデメリットは、やはり金融機関の印象が悪化することですよね。事業資金として貸したものが役員個人に回ったとなれば、資金使途が違うことになってしまうので、「話が違う」ということになってしまいます。
また財務分析の際には、どうなるのでしょうか。
金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕では、役員貸付金は次の様に扱うよう注意書きがされています。
金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕
(1)企業の実態的な財務内容
代表者等からの借入金等については、原則として、これらを当該企業の自己資本相当額に加味することができるものとする。
なお、代表者等が返済を要求することが明らかとなっている場合には、この限りではない。
また、当該企業に代表者等への貸付金や未収金等がある場合には、その回収可能性を検討し回収不能額がある場合には当該企業の自己資本相当額から減額する。
金融機関的には、役員貸付金は返済の見込みがない限り、ゼロ評価で自己資本のマイナスとして見るということですね。
いわば払い込んだ資本金を、勝手に払い戻しているのと同じ扱いということでしょうか。
金融機関がどう見るかも問題ですが、役員貸付金は会社の業績がよくなったからといって解消できるものでもないですし、本当決算書のガンみたいなものというのが、個人的に抱く印象です。
解消するためには役員報酬から少しずつ返したり、事業で使うことができる固定資産を役員から購入したりと地道に返済してもらうしかないですし、そんなことで追いつかないくらい膨らんだ場合には退職金で相殺する以外に消しようがないということになってしまいます。
また税務的にも貸付金がある限り受取利息を取る必要があるので、計上した利息は未収金としてじわじわと増殖していって、これもまた不良資産化していくことになります。
債務免除で消そうとしたら、役員賞与となってしまって、損金不算入と源泉所得税のダブルパンチ。
また返済が全然なされない場合には、役員賞与とみなされる危険性がでてきます。
ガンと同じで、役員貸付金も極力発生させないこと。
そしてやむをえず発生したときには、金額が小さいうちに退治することが大事ですね。