以前に書いたこちらの記事(FX取引の会計処理と仕訳と表示 - 夢見る税理士の独立開業繁盛記)について、知り合いの関東の税理士から「消費税の課税区分はどうなるの?」と突っ込みを受けることがありました。
聞かれたのは例えば次のような取引の場合、「決算損益の金額とスワップの金額を分けて、決算損益は不課税だけど、スワップは実質金利みたいなものなので非課税になるということはないの?」ということです。
FXの中でもオセアニアや新興国などの高金利通貨の金利スワップは結構高めなので、本業が少なめの場合金利扱いで非課税に区分してしまうと、95%を割った場合には納税額にも影響してしまいますよね・・・。
自分の意見として「消費税の非課税取引は法別表第一に限定列挙なので、ここになければ非課税に該当しない。金利スワップは列挙されてないから、不課税取引。性格似ているからって非課税に該当するってことはないでしょう」と答えたのですが、ちょっと自信がなくなってきたので改めて確認してみました。
法別表第一のうち、受取利子が非課税になるのは、下記の第三項です。
消費税法別表第一(第六条関係)
三 利子を対価とする貸付金その他の政令で定める資産の貸付け、信用の保証としての役務の提供、所得税法第二条第一項第十一号(定義)に規定する合同運用信託、同項第十五号に規定する公社債投資信託又は同項第十五号の二に規定する公社債等運用投資信託に係る信託報酬を対価とする役務の提供及び保険料を対価とする役務の提供(当該保険料が当該役務の提供に係る事務に要する費用の額とその他の部分とに区分して支払われることとされている契約で政令で定めるものに係る保険料(当該費用の額に相当する部分の金額に限る。)を対価とする役務の提供を除く。)その他これらに類するものとして政令で定めるもの
これに関連する政令は、次のような感じです。
消費税法施行令第10条 (利子を対価とする貸付金等)
法別表第1第3号に規定する利子を対価とする貸付金その他の政令で定める資産の貸付けは、利子を対価とする金銭の貸付け(利子を対価とする国債等の取得及び前条第4項に規定する特別引出権の保有に伴うものを含む。) とする。
3 法別表第1第3号に掲げる資産の貸付け又は役務の提供に類するものとして同号に規定する政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
◆1 預金又は貯金の預入(金融商品取引法施行令 (昭和40年政令第321号) 第1条第1号 (有価証券となる証券又は証書) に規定する譲渡性預金証書に係るものを含む。)
◆2 収益の分配金を対価とする法第14条第1項 ただし書に規定する信託
◆3 所得税法 (昭和40年法律第33号) 第174条第3号 又は第4号 (内国法人に係る所得税の課税標準) に掲げる給付補てん金を対価とする掛金の払込み
◆4 無尽業法 (昭和6年法律第42号) 第1条 (定義) に規定する無尽に係る契約に基づく掛金の払込み
◆5 利息を対価とする抵当証券法 (昭和6年法律第15号) 第1条第1項 (証券の交付) に規定する抵当証券(これに類する外国の証券を含む。) の取得
◆6 償還差益(国債等又は金融商品取引法第2条第1項第15号 (定義) に掲げる約束手形(これの性質を有する同項第17号 に掲げる証券又は証書を含む。以下この号及び次号において「約束手形」という。) の償還金額(買入消却が行われる場合には、その買入金額) がその取得価額(当該国債等又は約束手形につき償還(買入消却を含む。) の時において所得税法第48条 (有価証券の譲渡原価等の計算及びその評価の方法) の規定により評価した金額又は法人税法第61条の2第1項第2号 (有価証券の譲渡原価の額) に規定する原価の額に係る算出の方法により計算した金額をいう。) を超える場合におけるその差益(当該国債等又は約束手形が法人税法施行令 (昭和40年政令第97号) 第139条の2第1項 (償還有価証券の調整差益又は調整差損の益金又は損金算入) に規定する償還有価証券に該当する場合には、同項 に規定する調整差益を含む。) をいう。第48条第4項において同じ。) を対価とする国債等又は約束手形の取得
◆7 手形(約束手形を除く。) の割引
◆8 前各号に掲げるもののほか、金銭債権の譲受けその他の承継(包括承継を除く。)
◆9 割賦販売法 (昭和36年法律第159号) 第2条第1項 (定義) に規定する割賦販売、同条第2項 に規定するローン提携販売、同条第3項 に規定する包括信用購入あつせん又は同条第4項 に規定する個別信用購入あつせんに係る手数料で当該割賦販売、ローン提携販売、包括信用購入あつせん又は個別信用購入あつせんに係る契約においてその額が明示されているものを対価とする役務の提供
◆10 資産の譲渡等の対価の額又は当該対価の額に係る金銭債権の額を2月以上の期間にわたり、かつ、3回以上に分割して受領する場合におけるその受領する賦払金のうち利子又は保証料の額に相当する額で当該賦払に係る契約において明示されている部分を対価とする役務の提供(前号に掲げる役務の提供を除く。)
◆11 法別表第1第2号に規定する有価証券(ゴルフ場利用株式等を除くものとし、その権利の帰属が社債、株式等の振替に関する法律 の規定による振替口座簿の記載又は記録により定まるものとされるものを含む。) 又は登録国債の貸付け
◆12 物上保証(その所有する資産に他の者の債務を担保するために質権又は抵当権を設定することをいう。) としての役務の提供
◆13 保険料に類する共済掛金その他の保険料に類するものを対価とする役務の提供(農業協同組合法 (昭和22年法律第132号) 第10条第1項第10号 (事業) の事業を行う農業協同組合連合会の法人税法第84条第1項 に規定する厚生年金基金契約、確定給付年金資産管理運用契約、確定給付年金基金資産運用契約、確定拠出年金資産管理契約又は同法 附則第20条第1項 に規定する適格退職年金契約に該当する生命共済の契約その他財務省令で定める契約に係る掛金を対価とする役務の提供のうち、当該役務の提供に係る事務に要する費用の額として区分して支払われる金額に係る部分を除く。)
◆14 信託財産に属する資産の貸付けに係る契約で当該貸付けの終了の時に当該資産を当該貸付けに係る賃借人に未償却残額(当該資産につきその使用を開始した時から当該貸付けの終了の時までの期間を基礎として当該資産につき採用している償却の方法により償却を行つたものとした場合に計算される当該貸付けの終了の時における価額をいう。) により譲渡する特約が付されているものに係る役務の提供のうち利子又は保険料の額に相当する額を対価とする部分(当該貸付けに係る契約において当該利子又は保険料の額として明示されているものに限る。)
◆15 所得税法第67条の2第3項 (リース取引に係る所得の金額の計算) 又は法人税法第64条の2第3項 (リース取引に係る所得の金額の計算) に規定するリース取引でその契約に係る賃貸料のうち利子又は保険料の額に相当する部分(当該契約において明示されているものに限る。) を対価とする役務の提供
また関連する基本通達は、以下のような感じで該当するものを例示しています。
消費税法基本通達6−3−1(金融取引及び保険料を対価とする役務の提供等)
法別表第一第3号《利子を対価とする貸付金等》の規定においては、おおむね次のものを対価とする資産の貸付け又は役務の提供が非課税となるのであるから留意する。(平11課消2−8、平13課消1−5、平14課消1−12、平15課消1−13、平19課消1−18により改正)
(1) 国債、地方債、社債、新株予約権付社債、投資法人債券、貸付金、預金、貯金又は令第9条第4項《支払手段に類するもの》に規定する特別引出権の利子
(2) 信用の保証料
(3) 所法第2条第1項第11号《定義》に規定する合同運用信託、同項第15号に規定する公社債投資信託又は同項第15号の2に規定する公社債等運用投資信託の信託報酬
(4) 保険料(厚生年金基金契約等に係る事務費用部分を除く。)
(5) 法法第2条第29号《定義》に規定する集団投資信託、同条第29号の2に規定する法人課税信託又は同法第12条第4項第1号《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》に規定する退職年金信託若しくは同項第2号に規定する特定公益信託等の収益の分配金
(6) 相互掛金又は定期積金の給付補填金及び無尽契約の掛金差益
(7) 抵当証券(これに類する外国の証券を含む。)の利息
(8) 割引債(利付債を含む。)の償還差益
(9) 手形の割引料
(10) 金銭債権の買取又は立替払に係る差益
(11) 割賦販売法第2条第1項《割賦販売の定義》に規定する割賦販売、同法第2条第2項《ロ−ン提携販売の定義》に規定するロ−ン提携販売、同条第3項《包括信用購入あっせんの定義》に規定する包括信用購入あっせん又は同条第4項《個別信用購入あっせん》に規定する個別信用購入あっせんの手数料(契約においてその額が明示されているものに限る。)
(12) 割賦販売等に準ずる方法により資産の譲渡等を行う場合の利子又は保証料相当額(その額が契約において明示されている部分に限る。)
(13) 有価証券(その権利の帰属が社債等振替法の規定による振替口座簿の記載又は記録により定まるものとされるもの及び令第1条第2項第3号《登録国債》に規定する登録国債を含み、ゴルフ場利用株式等を除く。)の賃貸料
(14) 物上保証料
(15) 共済掛金
(16) 動産又は不動産の貸付けを行う信託で、貸付期間の終了時に未償却残額で譲渡する旨の特約が付けられたものの利子又は保険料相当額(契約において明示されている部分に限る。)
(17) 所法第67 条の2 第3 項《リ−ス取引の範囲》又は法法第64 条の2 第3項《リ−ス取引の範囲》に規定するリース取引でその契約に係るリース料のうち、利子又は保険料相当額(契約において利子又は保険料の額として明示されている部分に限る。)
消費税法基本通達6−3−5(前渡金等の利子)
前渡金等に係る利子のようにその経済的実質が貸付金であるものに係る利子は、法別表第一第3号《利子を対価とする貸付金等》に規定する利子を対価とする資産の貸付けに該当するものとして取り扱う。
というわけで金利スワップに該当するものは、条文や通達を読む限り、非課税取引には該当せず不課税取引でしょう。と思っていたのですがGoogle先生に訊いてみると、金利スワップを支払手段の譲渡とする考え方もあるみたいですね。
支払手段の譲渡については、同じく法別表第一の2項に「外国為替及び外国貿易法第六条第一項第七号(定義)に規定する支払手段」と規定されています。
消費税法別表第一(第六条関係)
二 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項(定義)に規定する有価証券その他これに類するものとして政令で定めるもの(ゴルフ場その他の施設の利用に関する権利に係るものとして政令で定めるものを除く。)及び外国為替及び外国貿易法第六条第一項第七号(定義)に規定する支払手段(収集品その他の政令で定めるものを除く。)その他これに類するものとして政令で定めるもの(別表第二において「有価証券等」という。)の譲渡
その外国為替及び外国貿易法を見ても、金利スワップはどうも該当しないように思われるのは私だけでしょうか・・・。
外国為替及び外国貿易法 第六条(定義)
この法律又はこの法律に基づく命令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
七 「支払手段」とは、次に掲げるものをいう。
イ 銀行券、政府紙幣、小額紙幣及び硬貨
ロ 小切手(旅行小切手を含む。)、為替手形、郵便為替及び信用状
ハ 証票、電子機器その他の物(第十九条第一項において「証票等」という。)に電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。)により入力されている財産的価値であつて、不特定又は多数の者相互間での支払のために使用することができるもの(その使用の状況が通貨のそれと近似しているものとして政令で定めるものに限る。)
ニ イ又はロに掲げるものに準ずるものとして政令で定めるもの
外国為替令第二条
法第六条第一項第七号 ニに規定する政令で定める支払手段は、次に掲げるものとする。
一 約束手形(次項に規定する証券又は証書に該当するものを除く。)
二 法第六条第一項第七号 イ若しくはロ又は前号に掲げるもののいずれかに類するものであつて、支払のために使用することができるもの
ただもし仮に支払手段に該当するにしても、支払手段は課税売上割合の計算上資産の譲渡等には含まないものとするので、課税売上割合の計算には影響しないことになります。
消費税法施行令第48条 (課税売上割合の計算方法)
法第30条第6項 に規定する政令で定めるところにより計算した割合は、第1号に掲げる金額のうちに第2号に掲げる金額の占める割合とする。
◆1 当該事業者が、当該課税期間中に国内において行つた資産の譲渡等の対価の額(法第28条第1項 に規定する対価の額をいう。以下この項において同じ。) の合計額から、当該課税期間中に国内において行つた資産の譲渡等に係る対価の返還等の金額(資産の譲渡等につき、返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをしたことにより、当該資産の譲渡等の対価の額の全部若しくは一部の返還又は当該資産の譲渡等の対価の額に係る売掛金その他の債権の額の全部若しくは一部の減額をした金額をいう。) の合計額を控除した残額2 前項第1号に規定する資産の譲渡等には、事業者が行う次に掲げる資産の譲渡は、含まないものとする。
◆1 法別表第1第2号に規定する支払手段又は第9条第4項に規定する特別引出権の譲渡
やっぱり個人的には、金利スワップは「不課税取引」に該当するように思われます。ああ、もうでもややこしい金融商品は嫌いです・・・(^^;。
※複合機のドラムユニット。だましだまし使ってきましたが、そろそろ限界になってきたので代わりを購入。
私の事務所のプリンター兼FAX兼コピー機兼スキャナのジャスティオ様。開業半年前の2008年の2月に買ったので、もう5年目。
たった10万円だったのに、5年間ガンガン働いてくれた上に、まだまだ壊れる気配もなし。頼もしい相棒です(*^^*)。
壊れたら両面印刷ができる後継機種を買おうと思っていますが、当分大丈夫かな。