夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

事務所ホームページはこちらです→神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所

Claude Codeで作った小説を投稿してみました 

少し前からCalaude Codeというものを使い始めて色々いじっているのですが、習作のつもりで書いた(^^;小説の第一話ができたので、talesに投稿してみました。
tales.note.com



あらすじはこんな感じ・・・。

## 「損紙の帳尻」――会計探偵みつ子の事件簿


### 紹介文

 神戸・岡本の坂を上りきった先に、古い洋館を改装した小さな会計事務所がある。税理士になって二年目の鳥居雅之は、所長の無茶振りで印刷会社「丸岡印刷」の担当を任される。引き継ぎなし、訪問まで五十分。

 初訪問で出迎えてくれたのは、温厚な社長と、勤続二十八年のベテラン倉庫担当。「うちは隠すもんなんか、何もないですから」——その笑顔に、疑う理由はなかった。

 しかし事務所に戻ると、紅茶を片手にうんちくを語るお嬢様口調の同僚・みつ子が、帳簿の数字にある「異常」を指摘する。古紙売却収入の半分が、どこかへ消えている——。

 穏やかな司令塔・撫子に導かれ、雅之はお金の流れを追い始める。笑顔の裏に隠された七年間の真実と、数字だけが知っていた「帳尻」の行方とは。

 紅茶のうんちくと税務の知識が絡み合う、新感覚の会計お仕事ミステリー。

### 登場人物

  • **鳥居雅之**(29歳):語り手。新米税理士。誠実だが経験不足を自覚している
  • **絹延橋みつ子**(31歳):数字の天才にしてうんちくの達人。紅茶を愛するお嬢様口調の会計探偵
  • **川西撫子**(33歳):事務所の司令塔。雅之の先輩税理士。穏やかな一言で本質を突く
  • **能勢昭彦**(62歳):所長。ダブルのスーツがトレードマーク。説明ゼロの無茶振り名人

talesで「創作大賞」というイベントがあるみたいなのですが、
note.com
AIで作ったものでも、そのまま使うのでなければいいみたいなので、一度応募してみようかな。
(とはいえ、ほとんどAIが作っていますが(^^;)


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

コードエディターでお話を作るのって便利

先週Claudeの話を教えていただいてから、Claude Codeというものに慣れようと、これを使ってお話を作ることができるのか色々触って遊んでいます。
Visual Studio Codeという無料のプログラムなどを書くコードエディターに、Claude Codeを結び付けて使っているのですが、これでお話を作るのって結構便利と目から鱗な感じです。

基本設定や登場人物設定、世界観などを一括りで管理できるので、コードを書くという本来の使い方とは違いますが、コードエディターの方がワープロなどで作るより大分効率がいい気がします。


作ったお話を確認するため時系列を確認したいとお願いすると、すぐにタイムラインを作成してくれるんですね。要約なども一瞬でやってくれるので、やっぱりAIってすごい・・・。

# 物語内タイムライン



## 第1章「新しい顧問先」——十月上旬

季節の手がかり**:ケヤキの葉の縁だけが薄く黄みを帯びている。まだ緑が勝っている段階。



### 能勢会計事務所(神戸市東灘区岡本)

時刻 出来事
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09:10 能勢所長が雅之に「丸岡印刷の月次、今日から担当してくれ」と突然振る。訪問まで50分。引き継ぎなし
09:10〜09:45 撫子が引き継ぎ資料を渡す。みつ子が「損紙は廃棄の流れまで現場確認を」と忠告。雅之がコーヒーを飲んで出発

### 丸岡印刷(神戸市灘区・阪神岩屋駅周辺)

時刻 出来事
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10:00頃 雅之が初回訪問。受付で丸岡康生社長と対面
応接室で丸岡智香さんが月次帳簿(試算表)を開く。雅之が各項目を確認。古紙売却収入(雑収入)の行で一度手が止まるが、特に違和感は抱かない
倉庫で堂本重典(勤続28年)が案内。几帳面に綴じられた処分伝票を見せる。「うちは隠すもんなんか何もないですから」と人懐っこく笑う
雅之「いい訪問だった」と感じて帰途につく

### 帰路・能勢会計事務所(同日夕方)

時刻 出来事
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午後(日暮れ前) 摂津本山からの坂道を上りながら、堂本の「隠すもんなんか何もない」という言葉が頭を一度だけ通り過ぎる。歩き出すのに少し間があく
夕方 事務所帰還。みつ子が「過去5年の古紙売却収入の推移」と「用紙仕入量からの推定値」を並べた月次データを提示
みつ子の指摘①:売却収入が5年で半分以下になっている
みつ子の指摘②:用紙仕入量に業界標準の損紙発生率を掛けると、実際の収入は推定値の約50%しかない
みつ子「存在しない記録は、記録されないものよ」
撫子「来週もう一度、数字を持って確認してきて。数字が何かを言おうとしているときは、聞いてあげるものよ」

## 〔間:数日〕

みつ子が「用紙仕入量ベースの推定値 vs 実績値」を1枚のA4資料にまとめる。
撫子が雅之に資料を渡し、「これを持って、堂本さんの目を見て話してきて」と指示(ch02シーン1冒頭の「一昨日の撫子さんの言葉」)。



## 第2章「消えた損紙」——十月後半(第1章から約2〜3週間後)

季節の手がかり**:ケヤキがすっかり橙に染まり、足元に落ち葉が積み始めている。空気が冷たくなっている。



### 丸岡印刷(再訪)

出来事
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雅之が再訪。丸岡社長は外出中。智香さんが対応し、堂本に取り次ぐ
倉庫の作業台の前で堂本に資料を提示。「推定値の約50%しか収入がない」差を指摘
堂本「古紙の相場が下がっている。機械の精度が上がって損紙の発生量も減っている」と余裕の説明。「紙のことは紙の人間にしかわかりません、任せといてください」
雅之が「過去7年分の処分記録すべてのコピー」を依頼
堂本の表情が一瞬だけ止まる。返事は自然だったが、わずかな間が残る
雅之に7年分の記録が渡される

### 能勢会計事務所(帰還・夕方)

出来事
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摂津本山→岡本の坂道。封筒(7年分の記録)をカバンの中でずっと意識しながら帰る
撫子がコーヒー2杯と**アガメムノン**(岡本・山手幹線沿いのチョコレート専門店。兵士の横顔マーク)のプレートチョコでねぎらう
みつ子がアガメムノン神話を語る:「トロイア戦争の英雄が、自分の家に見張りを置かず、帰還後に妻に殺された」→牽制する仕組みのない信頼は放置である
みつ子「丸岡社長は二十八年間、堂本さんを信頼し続けたが、確認という仕組みが伴っていなかった」
雅之が報告:堂本が「7年分の記録依頼で一瞬止まった」
撫子がうなずく(言葉なし)
みつ子がホワイトボードに7年分の試算を展開(用紙仕入量・損紙発生率・古紙相場の公開データを使用)
堂本の反論(相場下落・機械精度向上)を公開データで否定:7年間のトレンドで大きな下落なし、業界全体での損紙率改善データなし
みつ子「説明にはなっていない、ということですわね」
**確定試算:七年間 約四百五十万円**が会社に入っていない
撫子「数字は出た。次は証拠よ。お金の流れを追いなさい。損紙が消えているなら、代金はどこかへ流れているはず。廃棄業者の先に、別の誰かがいるはずよ」

## 第3章「影の業者」——十月下旬(第2章から数日後)

季節の手がかり**:ケヤキが完全に橙。風が吹くたびに葉が舞い落ち、踏むとかさりと鳴る。十月が終わろうとしている。



### 〔シーン1・数日にわたる調査〕

出来事
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神戸古紙回収に照合依頼。2日後にファックス着——堂本の記録と一致
しかし推定損紙量と照らすと、正規業者が引き取っていない量が確実にある。もう一軒、業者がいる
撫子「丸岡印刷の現場で、別のトラックを見た人がいないか。堂本さん以外の人から聞いてみて」

### 丸岡印刷(三度目の訪問)

出来事
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智香さんに電話。社長外出中。「堂本さんには連絡不要で」と伝え、翌日の午前に作業員・野口(入社3年目)と休憩スペースで面談
野口の証言:「たまに白い箱型の別のトラックが来ていた。"なだ"か"かわ"みたいな字のシール。堂本さんだけが直接対応していた」
面談後、堂本が偶然現れる。「うちは隠すもんなんか何もないですから」と相変わらず笑顔
退社後、神戸古紙回収に再連絡。「このエリアの小規模業者をご存知ですか」→「灘川古紙さんくらいかなあ」
野口の断片「"なだ"か"かわ"」と一致→**灘川古紙**を特定

### 灘川古紙(神戸市灘区・国道43号線南側、製鋼所脇の工業地帯)

出来事
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翌日、訪問。錆びたフェンス沿いのトタン屋根プレハブ。五十代の男性が一人で経営
男性の証言:「堂本さんから直接電話。会社を通さず個人で頼むと言われた。代金は毎回現金手渡し。領収書は求められなかった。7年ほど前から」
手書きの年度別台帳(7年分)を確認——日付・引き取り量・現金金額が記録されている
「後日、顧問先の社長を通じて正式に台帳を提供いただけるか」→男性「……わかりました」

### 能勢会計事務所(同日夕方)

出来事
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帰還。コーヒーの香りに混じり、燻したような甘い香り。みつ子がキームン(中国紅茶)を解説:「松の煙で燻したような香りに、奥からワインのような深みが来る」
雅之が報告:白いトラック・野口の証言・灘川古紙・現金払い・7年分の手書き台帳
みつ子「台帳の金額と試算との差は」→「大きくは外れていませんでした」
撫子「丸岡社長に報告する。社長の了承を得て台帳を正式取得。そのうえで堂本さんと話す。今は何も言わない」

## 第4章「追い詰められた男」——十一月上旬(第3章から数日後)

季節の手がかり**:ケヤキはすっかり葉を落とし始め、石垣の上に枯れ葉が積もっている。



### 丸岡印刷(社長室)——翌週月曜日

出来事
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撫子・みつ子・雅之の三人で訪問。智香さんと名刺交換
社長室で撫子が事実経緯を報告:雑収入の乖離・野口の証言・灘川古紙・現金払い・7年分の台帳
みつ子が修正申告を説明:法人税は横領損失との相殺でほぼ影響なし。消費税は直近5年分・約30万円前後
社長「不正があったとなれば、うちにも重加算税が来るんですか」→みつ子「被害者の立場につき課されません。税務調査通知前の自発的修正申告なら過少申告加算税も課されません」
社長が台帳の正式取得を了承。堂本への連絡は台帳取得後にすることを確認

### 能勢会計事務所——三日後

出来事
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灘川古紙から台帳複写が封筒で届く
みつ子がデスクで1時間以上かけて照合。自分の試算とほぼ一致
みつ子「最初の一、二年は慎重だった。年を追うごとに大胆になっていった——数字がそう読めますわ」
「数字というのは、時間に鈍感なんですわ。過去を疑わない人の隙を突く」
翌日に向けて証拠資料を仕上げる

### 丸岡印刷(応接室)——台帳到着から二日後

出来事
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撫子から雅之に連絡:「社長が堂本さんを呼んでくださるそうよ。明日、私たちも同席で」
社長・智香・撫子・みつ子・雅之の五人が応接室に集合
堂本が遅れて入室。「何かありましたか」と人懐っこく笑う
撫子が確認:正規ルート以外への売却・白いトラックの目撃証言・灘川古紙の社名
堂本が灘川古紙の名で一瞬だけ視線をそらす
みつ子が①損紙推定量vs引き渡し量(月次7年分・赤字)を提示→堂本「推測の話でしょう」
みつ子が②灘川古紙の台帳複写(日付・金額・数量・7年分)を提示→堂本の手が止まる
堂本が逆切れ:「社長、だまされてますよ。若造の税理士に何がわかる。先代の時代から二十八年——奥さんにしたって帳簿の中身がわかってるんですか」
智香さんが息を詰める。雅之が動けない
みつ子「灘川古紙の社長さんにも、お話を伺っておりますの」→堂本が止まる
社長「堂本。弁解があるなら、聞く」

### 応接室(続き)——同日

出来事
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堂本がまだ「俺には関係ない帳面ですよ」と抵抗。しかし声が低くなっている
みつ子が③業者の証言(現金・領収書なし・7年前から・同一人物が受け取りに来ていた)を提示
「名前まで、確認しております」
堂本がゆっくりと背もたれに体を預ける——力が抜けた
「……わかりました。やりました」
撫子「動機を聞かせてもらえますか」→堂本「遊ぶ金が欲しかった。それだけや」
「バレへんと思っとった。数字の話は、外の人間には——」で口が止まる
社長が立ち上がり、窓の外を見て「二十八年や」とだけ言う
撫子「今後の対応については、改めてご説明いたします。今日はここまでに」
窓の外でフォークリフトが止まり、また動く——何事もなかったように

## 第5章「三重の報い」——十一月上旬〜十一月半ば

季節の手がかり**:ケヤキの枯れ葉が路地を転がる。コートの前を合わせる冷たさ。



### 丸岡印刷(社長室)——面談から三日後

出来事
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撫子・雅之の二人で訪問。社長と智香に今後の手続きを説明(懲戒解雇・損害賠償・刑事責任)
社長が台風被害エピソードを回想:「朝一番に来て、一人で片づけを始めていた」
智香「康生さん、でも数字は数字よ」「台帳を見たら、疑いようがなかった」
社長「損害賠償は請求します。刑事の届けは……もう少し考えさせてください」
撫子「急がなくて大丈夫です」。沈黙が部屋に満ちる

### 能勢会計事務所——一週間後

出来事
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撫子が雅之に報告:堂本側の弁護士が丸岡印刷に直接申し入れ
内容:「全額弁償するから刑事告訴は見送ってほしい。ただし半額一括、残りは分割払いで」
雅之「まだ何かある」という直感。撫子「みつ子さん、少し話してあげて」

### 能勢会計事務所——同日(シーン3)

出来事
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みつ子がまず給湯室へ。やかんの沸騰音。アールグレイ3杯を用意
ベルガモットのうんちく:「後から加わったものは、元のものと不可分になる」
ホワイトボードで解説①:雑所得として課税対象(申告していなくても)
ホワイトボードで解説②:無申告加算税(本税の15〜20%)→重加算税へ
重加算税の根拠:現金受領・証憑なし・七年間の無申告・業者への領収書発行を自ら断った事実
重加算税:本税に対して40%加算
除斥期間:通常5年→偽りや不正の行為がある場合は7年に延長。「逃げ切れると思って積み上げた七年分が、丸ごと対象になる」
弁償金と税金は別物:「丸岡社長に返しても、税務署への未払いは一円も減らない」
雅之「二重課税にならないか」→みつ子「損紙売却と損害賠償は異なる私法上の行為。それぞれ課税関係も別々」
延滞税:申告期限から納付までの期間分が加算
余談:消費税(基準期間1,000万超の翌々年から課税事業者)→今回は対象外。「惜しかったですわね」
弁護士の限界→撫子「堂本さんが聞く耳を持ったかどうかは、わからないわね」
撫子「"誰にもわからない"——その慢心が、一番高くついたわね」
「損紙の帳尻は、最後まで、きっちり合っていた」

### 丸岡印刷・能勢会計事務所——十一月半ば(シーン4)

出来事
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古紙売却の確認ルールを一つ追加:業者への引き渡し量と入金額を月次で智香と照合
智香が几帳面な字で整理された確認表を持参。「これで大丈夫でしょうか」
帰り道、堂本の「隠すもんなんか何もないですから」という笑顔を反芻
事務所で撫子が雅之に語る:「ダブルチェックの体制は人を縛るためではなく守るため。人間は弱い生き物だから仕組みが必要」
みつ子がカップを口に運びながら静かに聞く。皮肉めいた間合いなし
能勢所長が所長室から登場。ボタンが今にも悲鳴を上げそうなダブルのスーツ
「丸岡社長から電話があってな。よう頑張ってくれた、ってえらい褒めとったぞ」
「西灘の工務店や。決算書に少し気になるとこがあって——まあ、行けばわかる。明後日、顔出してきてくれるか」→即退場
雅之(内心)「……また、行けばわかる、か」
みつ子がくすりと笑う。「雅之くんの顔が、面白かっただけですわ」
「能勢会計事務所の、いつもの午後が、また始まった。」

## 登場人物の動向サマリー

人物 第1章時点 第2章時点 第3章時点 第4章時点 第5章時点
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鳥居雅之 初訪問。「いい会社」と感じる。違和感に気づきつつ流す 資料を持って再訪。堂本の「一瞬の止まり」を確認。7年分の記録を入手 神戸古紙回収・野口・灘川古紙と三段階で追跡。現金払いの証言と台帳を確保 社長報告・台帳照合・堂本面談に同席。逆切れ場面で動けず。告白の瞬間に立ち会う 社長室同席・管理体制再構築・撫子の言葉を受け止める。所長の無茶振りに「……また、行けばわかる、か」
絹延橋みつ子 「損紙の現場確認」を忠告。当日中に売却収入の異常を発見 ホワイトボードで約450万円の試算を確定。堂本の反論を公開データで否定 キームンを飲みながら待機。台帳と試算の一致を静かに確認 社長室で修正申告を解説。台帳複写を1時間以上照合。面談で三段階の証拠を提示し堂本を包囲 アールグレイのうんちくで税の説明を導入。ホワイトボードで重加算税・除斥期間・延滞税を解説。撫子の言葉を珍しく黙って聞く。雅之の困惑をくすりと笑う
川西撫子 「来週もう一度行って」と指示 雅之をねぎらう。「数字は出た。次は証拠よ」 「丸岡社長に報告する」と即断。堂本への接触は社長報告後と決める 社長室で事実経緯を報告。面談を仕切る。堂本の逆切れも静かに受け止める 社長への手続き説明。「慢心が一番高くついた」。ダブルチェック体制の哲学を雅之に語る
堂本重典 「隠すもんなんか何もない」と笑う 資料に一瞬止まる。「紙のことは紙の人間に」 三度目の訪問でも余裕の笑顔。網が閉まっていることをまだ知らない 逆切れで周囲を見下す言葉が噴出。三段階の証拠に追い詰められ崩れる。「遊ぶ金が欲しかった」 弁護士を通じ「全額弁償・刑事告訴見送り・半額分割」を申し入れ。弁償しても税務上の報いは別に来る
丸岡康生 雅之を温かく迎える。「堂本はうちで一番頼りになる人間」 外出中(未登場) 未登場。次章で報告を受ける 事実を聞いて沈黙。修正申告も了承。「二十八年や」とだけ言う 台風エピソードを回想し逡巡。損害賠償は請求。刑事責任は保留
丸岡智香 几帳面な帳簿を見せる。「自己流で」と謙遜 再訪時に取り次ぎ 三度目の訪問で取り次ぎ。堂本への連絡不要の依頼に一瞬の間 名刺交換。報告を聞きハンカチを握りしめる。堂本の暴言に息を詰める 「康生さん、でも数字は数字よ」。几帳面な字で確認表を作成。再発防止へ前向きな声
野口(倉庫作業員) 未登場 未登場 別のトラックと堂本の単独対応を証言 未登場 未登場
灘川古紙・男性社長 未登場 未登場 現金払いと7年間の取引を認める。手書き台帳を保有 台帳複写を正式提供。証言が面談で読み上げられる 未登場(台帳・証言が第5章の解説の根拠として機能)
能勢昭彦(所長) 雅之に無茶振り。引き継ぎなしで50分後に訪問 未登場 未登場 未登場 「丸岡社長が褒めてたぞ」→即座に西灘の工務店を無茶振り。説明ゼロで退場

Claudeもそうですが、色々と最新のAIツールをバリバリと使いこなしている近税会の情報システム部の税理士さんは、やっぱりすごいですよねえ。
部員の先生方からお話を聞いたり、会議や研修に同席させていただいて新しい知見を得られるのは楽しいですが、私自身は果たしてお役に立てているのだろうか・・・。



※Claudeに同じ設定で次の話のプロットを作ってとお願いすると、また一瞬で作成・・・。前回の話の癖を掴んでいるのか、自然とこんな話が面白いかなという自分自身の方向性に寄せてくれているような気がします。
Claude Code、秘書みたいな感じで使えるよというのもむべなるかなという感じですね。

# 第2話「買われた帳簿」マスタープロット


## シリーズタイトル
「買われた帳簿」――会計探偵みつ子の事件簿


## 舞台
能勢会計事務所の顧問先「株式会社金澤金属」(神戸市兵庫区・兵庫運河沿い・従業員45名の金属加工業)
買収対象「株式会社サンライズ精工」(大阪市東成区・従業員20名の金属表面処理業)


## テーマ

  • 第一話との対比:内部の不正(横領) vs 外部からの罠(M&A詐欺)
  • 数字は嘘をつかない:粉飾は一見きれいだが、数字を丁寧に読めば矛盾が見える
  • 急がされるときこそ立ち止まる:M&A仲介の時間的プレッシャーの危険性
  • 守るとは何か:金澤社長の「従業員を守りたい」が、焦りによって逆にリスクになる構図


## 紅茶モチーフ
第一話のアールグレイ(香りと味)に対し、第二話は**ブレンドティー**(配合と実態)。
粉飾決算=下手なブレンドという比喩で一貫させる。

    • -

## 事件の核


### M&Aの構図
金澤金属(買い手)がM&A仲介会社「ブリッジ・キャピタル」を通じて、サンライズ精工の買収を持ちかけられる。
買収価格は1億2,000万円。金澤金属の加工品にサンライズ精工のめっき加工を加えることで、付加価値の高い一貫生産が可能になる——という触れ込み。


### 落とし穴の正体


#### 1. 簿外債務(土壌汚染の浄化義務)
サンライズ精工にはめっき加工で使用した六価クロムによる土壌汚染があり、帳簿に載っていない環境対策費用(推定浄化費用約8,000万円)が存在する。買収後、土地所有者としての浄化義務は金澤金属に移転する。

黒崎のスキーム設計**:土壌汚染対策法では、有害物質使用特定施設の廃止時(法第3条)や一定規模以上の土地の形質変更時(法第4条)に調査義務が発生するが、**工場をそのまま稼働し続ける限り、株式譲渡でも事業譲渡でも調査義務は生じない**。ただし実務上、事業譲渡では土地・設備を個別に移転するため、買い手側が環境デューデリジェンス(土壌調査等)を実施するのが慣行。一方、株式譲渡は会社の株を買うだけで個々の資産移転が発生しないため、環境調査が省略されやすい。黒崎はこの**実務慣行の違い**を意図的に利用し、株式譲渡スキームを組んでいる。買収後も工場が動いている限り法的な調査義務も発生せず、汚染は表に出ない。しかし、いずれ設備更新や工場移転・廃止の際には調査義務が発生し、そのとき金澤金属が莫大な浄化費用を負担することになる。時限爆弾を抱えたまま走り続ける構図。


#### 2. 粉飾決算(架空売上)
直近3期の売上が水増しされている。架空の売掛金が約3,200万円計上されており、実態の利益は赤字。売掛金の相手先には、バーチャルオフィスに登記された実体のない会社や、サンライズ精工の元役員と同姓の代表者の会社が含まれる。


#### 3. 仲介手数料の二重取り(双方代理)
黒崎は買い手(金澤金属)と売り手(サンライズ精工)の双方から手数料を取る利益相反の状態。さらに黒崎はサンライズ精工の実質オーナー側と元同僚の関係にあり、不良会社を高値で掴ませて仲介手数料と裏金を得る構図。


### 実態の企業価値
架空売上を除き、土壌汚染の浄化費用を加味した実質的な企業価値は約3,000万円。
買収価格1億2,000万円との差額9,000万円は、存在しない価値に対する支払いとなる。

    • -

## 章構成(全5章・約30,000字)


### 第1章「いい話」(約6,000字)


#### シーン1「金澤金属」

  • 能勢所長の紹介(「行けばわかる」)で、雅之が金澤金属の月次巡回に同行。
  • 兵庫運河沿いの道を歩いて工場へ向かう。運河の風景描写——冬の運河、鈍色の水面、対岸の倉庫群、錆びた係留柱、カモメの声。岡本の坂道とは対照的な、海と鉄の匂いのする町。
  • 金澤社長の工場への愛着、従業員との距離の近さ。加奈子が経理を見せてくれる。
  • 帰り際、社長が「実は相談がある」と切り出す。M&Aの話が来ている、と。


#### シーン2「仲介者」

  • 後日、能勢会計事務所に金澤社長と加奈子が来所。黒崎も同席。
  • 黒崎のプレゼン:サンライズ精工の概要、シナジー効果、買収価格(1億2,000万円)。資料は綺麗に整っている。
  • 金澤社長は前のめり。めっきを内製化すれば一貫生産ができる、外注費も下がる、受注の幅も広がる——職人として事業拡大の可能性に目が輝いている。加奈子は慎重。
  • みつ子は紅茶を飲みながら、資料をじっと眺めている。何も言わない。
  • 撫子が「デューデリジェンス(買収監査)をしっかりやりましょう」と提案。黒崎は「もちろんです」と快諾するが、「ただ、他にも検討されている先がありまして、あまり時間はない」と期限を匂わせる。


#### シーン3「紅茶の時間」

  • 黒崎と金澤親子が帰った後。
  • みつ子が一言。「あの資料、きれいすぎますわね」
  • 撫子:「雅之くん、デューデリジェンスの準備をして。みつ子さんには財務分析をお願い」
  • 雅之の内心:M&Aの実務は初めてで不安だが、第一話での経験がある。


### 第2章「きれいすぎる数字」(約6,000字)


#### シーン1「財務資料」

  • サンライズ精工から提出された3期分の決算書・勘定科目内訳書を分析。
  • みつ子がホワイトボードに数字を並べていく。売上は右肩上がり、利益率も安定。
  • みつ子が企業価値の算定方法を説明:「中小企業のM&Aでは、純資産に営業利益の3年から5年分を加えた金額が、買収価格の目安になりますの。年買法と呼ばれる考え方ですわ」
  • ホワイトボードに計算式を書く。サンライズ精工の純資産+直近3期の平均営業利益×(3〜5年)=黒崎の提示額1億2,000万円。「決算書の数字をそのまま使えば、この買収価格は一応の根拠がありますわね」
  • 「数字だけ見れば、優良企業ですわ」——ただし、声のトーンが平坦。


#### シーン2「最初の違和感」

  • みつ子が売掛金の回転期間に注目。売上が伸びているのに、売掛金の回収が遅れている。「売上が増えているのに、お金が入ってくるのが遅くなっている。普通は逆ですの」
  • もう一つ:固定資産の減価償却費が、設備の規模に対して少なすぎる。
  • みつ子のうんちく:紅茶のブレンドについて。「シングルオリジンは産地の個性がそのまま出ますけれど、ブレンドは配合で味を作りますの。上手なブレンドは調和しますが、下手なブレンドは——不自然な味がする。この決算書は、ブレンドの味がしますわ」
  • 雅之:「……紅茶の話ですよね?」


#### シーン3「現場確認」

  • 雅之と加奈子がサンライズ精工の工場を見学。黒崎が案内。
  • 工場は稼働しているが、雅之は気づく——作業場の一角が使われていない。設備にカバーがかかっている。
  • 加奈子も気づいている。「あのライン、動いてませんね」
  • 黒崎:「季節変動がありまして。繁忙期になれば稼働します」
  • 帰り道、加奈子が「あの説明、父なら信じると思います。でも私は引っかかる」と雅之に打ち明ける。


### 第3章「埋められた数字」(約6,000字)


#### シーン1「売掛金の裏」

  • みつ子が売掛金の相手先を分析。上位の取引先に、実在するか怪しい会社名がある。
  • 雅之が法人登記を調べる。一社は登記上の住所がバーチャルオフィス。もう一社は設立から2年で、代表者の名前がサンライズ精工の元役員と同姓。
  • さらに雅之が「厚生年金保険・健康保険 適用事業所検索システム」で確認。日本年金機構が公開しているシステムで、社会保険に加入している事業所を検索できる。従業員がいる会社なら通常は社会保険の適用事業所として登録されているはず。
  • 検索結果:一社はそもそも登録がない。もう一社は登録があるが被保険者数が1名。——めっき加工の発注元として帳簿に載っている会社に、従業員が1名しかいない。
  • 雅之:「登記上は存在する。でも、人がいない」
  • みつ子:「法人登記は誰でも作れますわ。でも従業員を雇って社会保険を払い続けるのは、ペーパーカンパニーには重荷ですの。だから適用事業所を調べれば、会社の実態が見えてくる」
  • 撫子:「架空売上の可能性があるわね」
  • みつ子:「売掛金が回収されていないのではなく、最初から回収するつもりがない売掛金——つまり、存在しない売上ですわ」


#### シーン2「土の下」

  • 加奈子が独自に動く。サンライズ精工の近隣で聞き込み。
  • 近所の工場の人間から情報を得る:「あそこ、去年あたりから環境の検査が入ってたよ。めっき工場だから、土壌の問題があるんじゃないかって噂」
  • 加奈子が事務所に報告。みつ子が調べると、めっき加工に使用される六価クロムは土壌汚染対策法の特定有害物質。汚染が確認された場合、土地所有者に浄化義務が生じる。
  • ただし、みつ子が重要な点を指摘:「土壌汚染対策法では、工場をそのまま稼働し続ける限り、調査義務は発生しませんの。調査が必要になるのは、工場を廃止したとき、あるいは土地の形質を変更するとき。これは株式譲渡でも事業譲渡でも同じですわ」
  • 雅之:「じゃあ、工場が動いている間は問題にならない……?」
  • みつ子:「法律上はね。でも実務上、事業譲渡で土地を取得する場合は、買い手が環境調査を行うのが普通ですの。土壌に何が埋まっているかわからない土地を、そのまま買う方はいませんわ」
  • 撫子が気づく:「黒崎さんが株式譲渡にこだわっていた理由がわかったわ。株式譲渡なら個々の資産移転が発生しない。土地を直接取得するわけではないから、環境調査が省略されやすい——実務の慣行を利用して、調査の目を逸らしているのよ」
  • みつ子:「そして工場が動いている限り、法的な調査義務も発生しない。二重の壁ですわね」
  • 雅之:「でも、いずれは……」
  • みつ子:「設備を更新するとき、工場を移転するとき、あるいは廃業するとき——そのとき調査義務が発生して、初めて汚染が表に出る。そして浄化費用を負担するのは、そのときの土地の所有者。つまり金澤金属さんですの」
  • みつ子:「帳簿には載っていませんわ。でも、土の下には埋まっている。そして黒崎さんは、それが表に出ないように仕組んでいる」
  • 時限爆弾を抱えたまま走り続ける構図。買収した瞬間には何も起きないが、いずれ金澤金属が莫大な浄化費用を背負うことになる。


#### シーン3「黒崎の正体」

  • 雅之がブリッジ・キャピタルの登記情報と過去の案件を調べる。
  • 過去に仲介した案件で、買収後に問題が発覚して買い手が損失を被ったケースが複数。
  • さらに、黒崎とサンライズ精工の実質オーナーが、以前同じ会社に在籍していた事実が判明。
  • 撫子:「仲介者が、売り手の味方だった」
  • 双方代理の問題:買い手の利益を守る立場の仲介者が、実は売り手側と繋がっている。


### 第4章「崩れる城」(約6,000字)


#### シーン1「社長の逡巡」

  • 金澤社長に中間報告。架空売上の疑い、土壌汚染リスク、黒崎の利益相反。
  • 社長は動揺する。しかし、一貫生産への夢を簡単には手放せない。「めっきまで自分のところでできるようになったら、うちは変われるんや」
  • 加奈子が「お父さん、今のうちの力で変わる道だってある。焦って掴む必要はない」と説得。
  • 社長はまだ迷っている。「でも、この話を断ったら、次はないかもしれん」


#### シーン2「黒崎の攻勢」

  • 黒崎が金澤社長に直接連絡。「他の買い手候補が本格的に動き出した。今週中に意向表明しないと間に合わない」と圧をかける。
  • 撫子が黒崎に条件を出す:「急がれるのは構いません。ただし、株式譲渡契約には表明保証条項をしっかり入れさせていただきます」
  • 表明保証の説明(雅之への=読者への解説):売り手が「この会社にはこういう問題はありません」と保証する条項。簿外債務がない、財務諸表が正確である、環境法令に違反していない、等を売り手が表明し、虚偽があれば損害賠償を請求できる。買い手を守る最後の砦。
  • 黒崎は「もちろんです」と快諾し、後日ドラフトを送ってくる。
  • しかしみつ子がドラフトを読むと、表明保証の範囲が不自然に狭い。環境関連の保証が丸ごと除外され、簿外債務の定義も限定的。「保証しますと言いながら、保証の中身を抜いている。契約書は、書いてあることより書いていないことの方が怖いものですわ」
  • 社長が揺れる。能勢会計事務所に電話:「やっぱり進めたい」
  • 撫子が雅之に指示:「数字で止めるしかない。みつ子さん、お願い」


#### シーン3「ホワイトボード」

  • みつ子がすべてをホワイトボードに整理する。
  • 第2章で示した企業価値の算定式を再び書き出し、今度は粉飾を除いた実態の数字で再計算する。
  • 架空売上3,200万円を除くと、実態の営業利益は赤字。純資産も土壌汚染の浄化義務(推定8,000万円)を簿外債務として差し引くと大幅に目減り。
  • 「前にお見せした計算式を覚えていらっしゃる? 純資産に営業利益の3年から5年分。あの式に実態の数字を入れると——」ホワイトボードに新しい数字が並ぶ。
  • 「この会社の実態価値は、よく見積もっても3,000万円ですわ。9,000万円は、存在しない価値に対してお支払いになることになります」
  • みつ子のうんちく回収:「ブレンドティーの話を覚えていらっしゃる? 配合を変えれば、安い茶葉でも高級品の味に近づけられる。でも、カップの底に残る渋みは隠せませんの。この決算書も同じ——表面は整えてあるけれど、底に沈んでいるものは消えていない」


### 第5章「帳簿の声」(約6,000字)


#### シーン1「金澤社長の決断」

  • みつ子の分析資料を前に、金澤社長が最終判断。
  • 加奈子が寄り添う。「お父さん、会社を守る方法は一つじゃない」
  • 社長が決断:「断ります」


#### シーン2「黒崎との対峙」

  • 能勢会計事務所で、金澤社長から黒崎に断りを入れる場。撫子とみつ子が同席。
  • 黒崎は動揺を隠しながら翻意を促すが、みつ子が淡々と数字を並べる。
  • 「架空の売掛金が3,200万円。土壌汚染の推定浄化費用が8,000万円。黒崎さん、この数字をご存知でしたか?」
  • 黒崎の顔から笑みが消える。
  • 撫子が表明保証のドラフトを取り出す:「黒崎さん、先日いただいた契約書のドラフトですが、表明保証から環境関連の保証が除外されていました。簿外債務の定義も限定的でした。——保証できない理由があったのではありませんか?」
  • みつ子:「株式譲渡で環境調査を省略させ、工場は現状のまま操業継続で法的な調査義務も発生しない。その上、表明保証からは環境関連を除外。——三重の壁で時限爆弾を見えなくしていらしたのですわね」
  • みつ子:「表明保証から除外されていた項目が、そのままこの会社の問題点の一覧になっていますわね。隠したいものほど、契約書から消したくなる。帳簿と同じですわ」
  • 撫子:「仲介者として、買い手に不利な情報を開示しなかったことは、重大な義務違反です」
  • 黒崎は何も言わず、鞄を持って出ていく。


#### シーン3「余談」

  • みつ子の一言:「惜しかったですわね。もう少しブレンドが上手ければ、見抜けなかったかもしれません」
  • 雅之の内心:(……それは褒めてるのか)
  • 加奈子が雅之に「ありがとうございました」。
  • 金澤社長が深々と頭を下げる。


#### シーン4「いつもの午後」

  • 事務所に戻る。撫子の言葉:「数字を読むことは、相手を疑うことじゃない。数字の声を聞くことよ」
  • 能勢所長の無茶振り:「金澤さんも喜んでたな。ところで次の案件なんだが——」(「行けばわかる」)
  • 雅之:(……また、行けばわかる、か)
  • みつ子がくすりと笑う。
  • 「能勢会計事務所の、いつもの午後が、また始まった。」

神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

Claude Codeを使ってみました

先週近畿税理士会の情報システム部会に出席した際、「『Claude』使ってる?」というお話を聞いたので、どんなものかなとClaude Codeを遅れ馳せながら使ってみました。
インストールはしたもののとりあえず何に使っていいのか分からないので(^^;、以前Geminiに作ってもらった小説と同じようなものを作りたいので設定してくれとお願いすると、自動で設定まで完了。


なるほど・・・。とりあえずClaudeに指示を出すときに、あらかじめ設定された前提条件を読んで対応してくれるから、一定条件のもとで作業するときに結果が安定してくるのかな・・・。

ロートルの頭ではなかなか理解が及ばないですが、とりあえず色々触ってみると分かってくるのでしょうか?


というわけでこのClaude Codeで、とりあえず昔の裁決事例を食べさせて、適当な小説のプロットを作ってもらいました。

# 第1話「損紙の帳尻」マスタープロット


## 舞台
能勢会計事務所の顧問先「丸岡印刷」(神戸市灘区・阪神岩屋駅周辺、JR灘駅から南へ徒歩圏、従業員約30名の中堅印刷会社)


## 登場人物(顧問先側)

  • 丸岡康生(まるおか やすお):丸岡印刷の二代目社長。温厚で現場を信頼しすぎる面がある
  • 丸岡智香(まるおか ちか):康生の妻。経理担当。真面目だが実務経験は浅い
  • 堂本重典(どうもと しげのり):55歳、勤続28年の倉庫管理担当。社内で最も信頼されているベテラン


## 事件の核
堂本が会社所有の損紙(規格外原紙)を無断で古紙回収業者に売却し、約7年間で約450万円を着服していた。
売却代金は息子名義の口座に振り込ませ、遊興費・小遣いに充てていた。


### 不正金額の推移(7年間の内訳)

  • 1〜2年目:年間30万円程度(「少し抜いてもバレない」という軽い気持ち)
  • 3〜4年目:年間50〜60万円規模に膨らむ(バレないと確信し大胆になる)
  • 5〜6年目:年間80万円程度
  • 7年目:年間100万円程度。7年合計で約450万円


### 会計処理(パターンA:収入計上)
損紙は古紙として有償で売却されるため、丸岡印刷の帳簿では**雑収入**として計上。

  • 正規ルート:古紙回収業者→売却代金→会社口座→雑収入に計上
  • 堂本の不正:損紙の一部を別の業者に横流し→代金を息子名義口座に着服→会社の雑収入に計上されない


### みつ子の発見(収入ベース)
みつ子が月次データで気づくのは**「古紙売却収入(雑収入)が少なすぎる」**という異常。

  • 印刷量・用紙仕入量から損紙の推定発生量を計算
  • 損紙発生量に古紙相場を掛けると、本来入るはずの雑収入が計算できる
  • 実際の雑収入はその約5割しかない=**約半分が会社に入っていない**
  • 売却収入は五年で半分以下に減少しており、印刷量が横ばいであることと矛盾する
  • 金額は小さくても、**7年間・息子名義口座・証憑なし**という事実が重い


### 消費税について(みつ子の解説として登場)
実際には年間売上が1,000万円を超えていないため課税事業者には該当しない。
第5章でみつ子が「もし年間1,000万円を超えていたら消費税まで来ていた」という形で仕組みを解説する。
→ 堂本への直接適用はないが、読者への税知識として届ける


## 堂本の慢心(裏テーマ)
堂本は内心で周囲を見下している。

  • 社長の康生に対して:「二代目は現場を知らん。数字しか見とらん」
  • 経理の智香に対して:「奥さんが経理? 素人に何がわかる」
  • 雅之に対して:「若造の税理士が倉庫のことなんか分かるか」
  • 会計事務所全体に対して:「会計事務所なんて申告書を作る代書屋やろ」

この慢心が、見下していた相手に数字で完膚なきまでに追い詰められるという構造を生む。


## スカッと構造:二重の報い+解説
堂本は「450万円弁償すれば終わり」と思うが、以下の二重苦が待っている。
1. **所得税(雑所得)**:7年間・450万円の違法所得。受け取って使った時点で課税対象。無申告。延滞税・無申告加算税も加算。
2. **重加算税**:息子名義口座・7年間の無申告で隠ぺい仮装認定。35〜40%加算。
さらに、会社への弁償金は損害賠償であり、元の課税は消えない。

ポイント:金額の小ささが逆に効く**
「たった450万円のために」という虚しさと、それでも税務上は容赦なく追いかけてくるという構造が、堂本の慢心(「代書屋に何がわかる」)への皮肉として機能する。

みつ子の「教育的解説」(消費税)**:
「もし年間1,000万円を超えていたら、消費税まで追いかけてきましたのよ。今回は……惜しかったですわね」
→ 堂本への直接適用はないが、読者への税知識として届ける


## 被害者側:丸岡印刷の税務上の問題

### ① 古紙売却収入の申告漏れ
堂本が横流しした分の売却収入は、丸岡印刷の帳簿に一切計上されていない。
税務上は「売上の漏れ」にあたり、過去分の**修正申告が必要**になる。

重加算税について**:
重加算税は「隠ぺいまたは仮装」の故意がある場合に課されるもの。
社長・智香さんは横領の事実を知らず、会社として意図的に隠したわけではないため、**重加算税は課されない**。
ただし、申告額が少なかったとして**過少申告加算税・延滞税**は発生しうる。
被害者として届け出て修正申告を行った事情が考慮され、軽減されるケースが多い。


### ② 横領損失の損金算入
横領が確定した場合、横領された金額(約450万円)を**損失として損金算入**できる。
未計上の売却収入(益金)と横領損失(損金)が相殺されるため、法人税への追加負担は限定的。


### ③ 消費税の修正申告
古紙売却は消費税の課税売上にあたるため、未計上分について**消費税の修正申告が必要**。


### 物語への活用
第4章の社長報告場面で、「堂本への怒り」に加えて「自社も修正申告が必要」というダブルパンチを丸岡社長に与える。
みつ子の台詞として:
>「丸岡社長、修正申告をされる場合、御社の売上にも漏れが生じていたことになります。……御社は被害者ですから、重加算税は課されません。ただ、過少申告加算税と延滞税は発生いたします。知らなかったとしても、申告額が少なかった事実は残りますので」
※なお、堂本を刑事責任に問う場合は、警察への被害届・告訴状の提出が別途必要になる。


## 章構成


### 第1章「新しい顧問先」

  • 雅之が丸岡印刷の月次巡回を初めて任される
  • 堂本は愛想よく案内しつつ、内心で雅之を見下す
  • 雅之は「いい会社だ」と安心して帰る
  • 事務所でみつ子が月次データから古紙売却収入(雑収入)の低さを指摘する


### 第2章「消えた損紙」

  • 雅之が「売却収入が五年で半分以下・印刷量から逆算すると本来の五割しかない」というみつ子の数字を持って再訪
  • 堂本に廃棄処理の流れを直接確認。堂本は「紙のことは紙の人間にしかわからん」と余裕を見せる
  • 雅之が正規の古紙回収業者への引き渡し量と、帳簿上の売却収入を突き合わせ、半分分が正規ルートを通っていないことを現場で裏付ける
  • 撫子が「数字はもう出た。次は証拠ね」と次のステップを指示


### 第3章「息子の口座」

  • 雅之が正規の廃棄業者とは別の古紙回収業者の存在を突き止める
  • 振込先が堂本の息子名義口座と判明
  • 堂本はまだ余裕——「帳簿に載っていないから誰にもバレない」
  • 撫子が社長への報告を決断。堂本にはまだ悟られないようにする


### 第4章「追い詰められた男」

  • 撫子と雅之が丸岡社長に報告。社長は蒼白になる
  • 堂本を呼んでの面談。最初はしらを切る——「俺の土俵で負けるわけない」
  • みつ子が数量分析・口座記録・振込記録を並べた資料で完全包囲
  • 堂本が崩れて認める。動機は息子の借金ではなく本人の虚栄(遊興費)
  • 丸岡社長が怒りと悲しみで言葉を失う


### 第5章「三重の報い」

  • 丸岡社長が懲戒解雇・損害賠償請求を決定
  • 堂本が弁護士を通じて「全額弁償するから穏便に」と申し入れ
  • みつ子がホワイトボードの前で解説

- 所得税:7年分の雑所得として追徴。延滞税・無申告加算税も加算
- 重加算税:息子名義口座・7年間の無申告で隠ぺい仮装認定。35〜40%加算
- 「弁償しても課税は消えない。弁償金は損害賠償。税金は税金」と明快に説明
- さらに一言:「もし年間1,000万円を超えていたら、消費税まで追いかけてきましたのよ。今回は……惜しかったですわね」(消費税の仕組みをさらっと解説)

  • 「7年間で450万円。でも税務署はそんな事情、関係ないんですのよ」——みつ子のとどめの一言
  • 撫子「"誰にもわからない"——その慢心が、一番高くついたわね」
  • エピローグ:丸岡印刷の管理体制再構築。雅之が手伝い始める。みつ子が次の案件を見つける

とりあえずこのプロットで第一章だけ書いてもらいましたが、結果は安定しているのかな・・・。なんだかよく分からなくなってきますね(^^;。

# 第1章「新しい顧問先」

    • -

## シーン1「その引き継ぎ、聞いてません」

 阪急岡本駅の改札を出ると、坂道が始まる。

 駅前にはベーカリーとコーヒースタンドが並び、朝のうちはパンと焙煎の香りが漂っている。

 その脇の路地に入ると、空気が変わる。

 古い石垣。苔むした門柱。生垣の隙間から覗く庭木。神戸の東、山手へ向かうこの坂道は、歩くたびに少しずつ静かになっていく。

 十月のケヤキはまだ緑を保っていたが、縁だけが薄く黄みを帯びていた。

 もうすぐ色が変わる、という手前の、中途半端な美しさだ。

 僕はそれをわりと好きだと思っている。

 完成する前の、まだ何者でもない感じが。

 引き戸を開けた瞬間に、何か違うと思った。



 コーヒーの香りに混じって、花か草か、やわらかい何かが漂っている。

 窓際のソファに絹延橋みつ子さんが座っているのは、いつものことだ。

 問題は、その前のローテーブルだった。

 亜麻色のリネンクロス。白磁に薄青の草花を描いたティーポットとカップ。小ぶりのティーコゼー。花を一輪挿したガラスの小瓶。そして、木製の砂時計。

 砂時計が、さらさらと流れていた。



 去年読んだ雑誌の「英国アフタヌーンティー特集」で見た光景だ、と気づくまでに数秒かかった。

 蒸らし時間を計っているらしい。

「おはようございます、雅之くん」

 みつ子さんはカップを両手でそっと持ち上げ、目を細めながら香りを確かめた。

 縦ロールの金髪にボルドーのリボン。袖口のレースが、朝の光に白く映えている。

 朝の九時。会計事務所。リネンクロスの上で、一人でアフタヌーンティー。

 この人だけ、いつも事務所の中にいながら、少し違う場所の空気をまとっている。

 ここで少し補足しておくと、みつ子さんは三十一歳。

 元上場企業の経理部門出身で、税理士試験にも合格している。どこへ行っても通用する人が、なぜかこの小さな事務所にいる。

 本人に聞いたことはないが、聞けない雰囲気がある。

「今日はダージリンのファーストフラッシュですの。今年の春摘みの一番茶。色がきれいでしょう」

 カップを傾けて、紅茶を光にかざして見せてくる。

 明るいオレンジ色が、たしかにきれいだった。

「よろしければ一杯どうぞ」

「ありがとうございます。コーヒーで」

「まあ。もったいないこと」

 もったいなくない、と思いながらコーヒーメーカーに豆を補充した。

 木の廊下。年代物の柱時計。静かな執務室。

 入所してほぼ二年になる今も、この事務所の空気は好きだ。

 みつ子さんが一輪挿しを持ち込まなければ、という条件付きだが。

 ——そもそも、この事務所の朝には決まった順番がある。

 コーヒーの香りがして、柱時計が響いて、静かに仕事が始まる。

 みつ子さんの英国式朝茶会は、その順番のどこにも書いていない。

「おはよう、雅之くん」

 川西撫子さんがデスクで書類を整えながら声をかけてきた。

 三十三歳。濃紺のジャケットに膝丈のスカート、胸元まである黒髪。実質的な司令塔で、顧問先からも同僚からも信頼が厚い。

 僕が入所してから一度も、この人が慌てた顔をしているのを見たことがない。

 慌てないのではなく、慌てを外に出さない人だと思っている。

「おはようございます。今日のスケジュール、確認させてもらえますか」

「もちろん——」

 言いかけたとき、所長室のドアが開いた。

 能勢文雄所長が、白髪交じりの頭を掻きながら出てくる。

 片手にコート、もう一方に分厚い封筒。朝からどこかへ出るつもりらしい。

 満足そうな顔をしている。

 これが危ない。

「おお、鳥居くん、ちょうどよかった」

 経験上、「ちょうどよかった」の次には仕事が一つ増える。

「丸岡印刷さんの月次、今日から君に担当してもらうから」

「はあ」

「先月突然辞めた竹内くんが担当だったんだけど、ずっと宙に浮いてて。今日ちょうど鳥居くんがいたから」

「引き継ぎは」

「ないね」

 あっさり言った。

「でも資料は撫子ちゃんのところにあるから大丈夫。あと今日の午前十時に訪問の約束が入ってるから、それもよろしく」

 午前九時十分。訪問まで五十分。

「十時……ですか」

「灘区だから急げば間に合う。先代の社長の代からのお付き合いだから、丁寧にね。じゃあ」

「あの、概要だけでも——」

「撫子ちゃんが説明してくれるから。じゃあ」

 ドアが閉まり、引き戸が開き、また閉まった。



 静かになった。



 先月退職した担当者。引き継ぎなし。ひと月宙に浮いていた顧問先。訪問まで五十分。

 それで「丁寧に」らしい。

 能勢所長のこういうところは、二年経っても慣れない。

 慣れたくない、という気持ちもある。

 みつ子さんがおもむろに砂時計をひっくり返した。

 さらさらと、また砂が流れ始める。

「雅之くん、落ち着いて」

 撫子さんがすでにファイルを手に立ち上がっていた。

「丸岡印刷株式会社、神戸市灘区。従業員三十名の印刷会社。二代目の丸岡康生社長は穏やかな方だから、そこは心配しなくていいわ。初回だから顔合わせと帳簿確認だけで十分。これが資料」

「竹内さんの引き継ぎ資料は」

「残ってないの」

 少し申し訳なさそうに、でも淡々と言った。

「急に辞めたから。帳簿と月次データはあるから、まずそれを手がかりに」

 引き継ぎなし、情報ゼロ、訪問まで四十五分。

 会計事務所あるある、と自分に言い聞かせた。

 それでどうにかなるものでもないけれど。

「雅之くん」

 みつ子さんが、カップを置きながら言った。

 さっきよりすこし、声のトーンが変わっていた。

「印刷会社は損紙が出るのよ。規格外の紙や刷り損じ。廃棄の流れがある会社は、帳簿の数字だけじゃなく、現場の管理まで確認しなきゃいけませんわ」

 窓からの風に、一輪挿しの白い花がわずかに揺れた。

「帳簿を眺めて、問題なさそうです、で帰ってくる——それがいちばんいけないことですのよ」

 みつ子さんにこういうことを言われると、「気をつけよう」より先に、もう何か始まっているのではないかという気持ちになる。

 この人がそういう顔をするとき、たいていそういうことだ。

 アフタヌーンティーを一人でやっていても、見ているものはいつも僕よりずっと遠い。

「わかりました。現場もきちんと確認してきます」

 撫子さんがうなずいた。

「丁寧に、ね」

 コーヒーを一口飲んでから、カバンを持って立ち上がった。

 窓の外、岡本の坂道を自転車が一台、のんびりと下っていく。

 石垣沿いのケヤキが朝の光を受けて、葉の縁を薄く金色に光らせていた。

 丸岡印刷。先代からの顧問先。実直な社長。初回の帳簿確認。



 それだけのはずだった。

    • -

## シーン2「丸岡印刷・初訪問」

 事務所を出て、坂道を下った。

 岡本から摂津本山は歩いて数分だ。神戸線のホームに立つと、海側から風が吹いてきた。

 十月の午前、空は高い。

 案内表示に「西明石行き」と出て、乗り込んだ。

 三駅。十分もかからない。



 それだけの距離でも、車窓の景色は変わっていく。

 摂津本山のあたりは落ち着いた住宅街だが、灘駅が近づくにつれて建物の密度が上がり、古い看板が増えていく。

 坂を下るように、町が変わっていく感じがした。

 JR灘駅の改札を出て、南へ歩いた。

 岡本とは逆方向だ。

 あちらは山へ向かうにつれて静かになっていく。こちらは海へ向かうにつれて、町の密度が上がっていく。

 古い商店。看板の色褪せた食堂。マンションの一階に埋まった小さな工場。

 阪神電車の高架をくぐると、さらに空気が変わった。

 海に近い低い土地の、ざらりとした感触がある。

 岩屋駅の周辺は印刷所や小さな倉庫が混在していて、平日の昼間でも荷車やトラックが路地を行き来していた。

 丸岡印刷は、その一角にあった。

 二階建ての自社ビル。白い外壁は少し黄ばんでいるが、玄関まわりは掃き清められて、プランターに小菊が植えてある。

 ガラス戸の向こうで、輪転機だろうか、低い振動音が聞こえていた。

 引き戸を開けると、インクの匂いがした。



 紙と油が混ざったような匂い。

 でも不快ではない。どこか懐かしい感じさえする。

 受付の女性に名刺を渡すと、「少々お待ちください」と奥へ引っ込んだ。

 待つあいだ、ロビーを眺めた。

 壁に額入りのカレンダーが何枚か飾られている。飲食店や医院の名前が入った、丁寧な印刷物。

 その隣に、白黒写真が一枚。

 工場の前に並んだ従業員たち。古いものだが、きちんと額に入れてある。先代の時代のものかもしれない。

 こういう会社が、うまくいってほしい、と思う。

 来て数分で思うことではないかもしれないが、そういう気持ちになった。

「お待たせしました。鳥居先生でいらっしゃいますか」

 廊下の奥から、がっしりとした体格の男性が出てきた。

 五十代。紺の作業服に会社名の刺繍が入っている。袖口にわずかにインクの汚れ。現場から出てきたばかりなのだろう。

 穏やかな目をしている。

「丸岡でございます。能勢会計事務所さんには、父の代からお世話になっております。川西先生にはいつも助けていただいて」

「鳥居といいます。本日からよろしくお願いします」

 名刺を受け取ってもらいながら、内心で少し恐縮していた。

「先生」と呼ばれるのはまだ慣れない。

 特に、こういうしっかりした年配の方に言われると、自分が何者なのかわからなくなる気がして。

「若い先生が来てくださって、社員たちも喜ぶと思います。さ、どうぞ」

 通された応接室は小ぢんまりしていたが、きれいに整えられていた。

 ソファに座ると、すぐにお茶が出てきた。

 少し遅れて、細身の女性がノートパソコンを抱えて入ってきた。

「妻の智香です。うちで経理を担当しています」

「よろしくお願いします」

 丸岡智香さんは、テーブルにパソコンを置いてこちらへ向け、画面を開いた。

「帳簿はこちらに用意しています。わかりにくい点があったら遠慮なく聞いてください。ただ……私、経理は自己流で。ちゃんと見ていただけると助かります」

「ありがとうございます。一緒に確認させてください」

 画面には月次の試算表が表示されていた。

 売上、仕入、外注費、水道光熱費、人件費。摘要も几帳面に記入されていて、智香さんの人柄が窺える。

 自己流、と本人は言ったが、数字の扱いは実直だ。

 帳簿というのは、つけた人間の性格が出る。

 スクロールしながら各項目を確認していくうち、一つの行で手が止まった。

「損紙」——みつ子さんが言っていたのはこれか。

「この損紙の処分費というのは——」

「紙の廃棄ですね」

 丸岡社長がすぐに答えた。

「印刷って、どうしても規格外の紙が出るんですよ。刷り損じとか、端材とか。それを古紙回収業者さんに引き取ってもらってます。堂本が管理してますから、詳しいことは彼に聞いてもらえると」

「堂本さんというのは」

「倉庫担当のベテランです。もう二十八年になりますかね。うちでいちばん頼りになる人間です」

 画面を目で追いながら、全体を確認した。

 売上の動きは自然で、大きな増減もない。仕入れと外注費の比率もだいたい安定している。廃棄処分費の欄は、突出した金額ではなかった。

 いい会社だな、と思った。



 社長は誠実で、奥さんの帳簿も実直だ。工場は清潔で、従業員の様子も落ち着いている。

 先代から続く信頼の積み重ねが、この会社の空気を作っているんだな、と。



 ——これが油断だったと、後で気づくことになる。

 でもこのときの僕には、そんな予感のかけらもなかった。

「あの、倉庫も少し見せてもらえますか」

 頭のどこかに、みつ子さんの声が残っていた。

 帳簿を眺めて、問題なさそうです、で帰ってくる——それがいちばんいけないことですのよ。

 あのときは急いでいて、半分しか聞いていなかった。

 でも今は、ちゃんと聞こえていた。

「もちろんです」

 丸岡社長は立ち上がりながら、廊下に向かって声をかけた。

「堂本さん、ちょっといいですか」

    • -

## シーン3「倉庫の案内人」

 廊下の奥から、足音がした。

 重たくて、でも軽やかな足音。

 大柄な人間が慣れた場所を歩くときの、あの感じだ。

「お、先生が来てくれはったんですか」

 現れたのは日焼けした顔の男性だった。

 五十代半ば。がっしりとした肩幅。作業服の胸元に「堂本」と刺繍されている。

 人懐っこい笑顔で、右手を差し出してきた。

「堂本いうもんです。この倉庫、二十八年仕切ってますんで。先生、何でも聞いてください」

「鳥居といいます。よろしくお願いします」

 握手の手は固かった。

 二十八年分の仕事が染み込んでいるような、いい手だ。

 丸岡社長に「あとはよろしく」と言われ、堂本さんに倉庫へ案内された。

 倉庫は建物の裏手にあった。

 引き戸を開けると、紙の匂いがした。

 さっきのインクとは違う、乾いた紙そのものの匂い。天井まで届く金属棚が整然と並び、紙の束がパレットに積まれている。通路はきれいに掃かれていて、台車が隅に揃えて置いてある。

「きれいに整理されてますね」

「当たり前ですわ」

 堂本さんは胸を張った。

「うちの倉庫が汚かったことは一度もない」

 自慢ではなく、事実として言っている口調だった。

「損紙の管理と、廃棄の流れを教えていただけますか」

「ああ、損紙ですか」

 堂本さんは棚の一角へ歩き、段ボールに仕分けられた紙の束を示した。

「印刷やと必ず出るんですわ。色合わせのときとか、刷り出しの調整とか。それが損紙です。これを月に一回、廃棄業者さんに出してます。伝票もちゃんと残してますよ」

 ファイルを持ち出してきた。

 几帳面に日付と数量が書かれた伝票が、月ごとに綴じてある。

「見ますか」

「ありがとうございます」

 数枚めくりながら確認した。

 廃棄業者の名前、引き取り量、金額。整然としている。

 堂本さんは倉庫を案内しながら、よく喋った。

 印刷の工程のこと。損紙の種類のこと。先代社長の時代から変わらないこの倉庫のこと。

 話しぶりは気さくで、若い担当者に対しても偉ぶった様子が一切なかった。

「先生、倉庫なんか見ても面白ないでしょ」

 堂本さんは笑いながら言った。

「紙のことは紙の人間にしかわかりませんよ」

「いえ、勉強になります」

「いやいや、こっちが先生に教えてもらうことの方が多いですわ。こういう細かいこと、会計事務所の先生方にはわかりにくいでしょうし——まあ、俺らに任せといてくれたら大丈夫ですよ」

 そう言って、また人懐っこく笑った。

「先生、何か気になることありましたら、いつでも言うてください。うちは隠すもんなんか、何もないですから」

 何しろ、この人はよく笑い、よく喋り、聞かれる前に伝票を出してくる。

 その言葉は、あまりにも自然だった。

 疑う理由など、どこにもなかった。

「ありがとうございます。今日はいろいろ教えていただいて」

「いえいえ。またいつでもどうぞ」

 倉庫を出て、応接室で智香さんに挨拶し、丸岡社長に見送られて会社を出た。

 灘駅まで歩きながら、今日のことを頭の中で整理した。

 誠実な社長。真面目な奥さん。ベテランの倉庫担当。整頓された倉庫。几帳面な伝票の束。

 いい訪問だった。

 みつ子さんに言われた通り、現場もちゃんと見てきた。

 特に問題らしいものは何もなかった。

 ホームに入ってきた電車に乗り込み、座席に腰を下ろした。

 窓の外、灘の低い街並みが流れていく。

 今日はいい仕事ができた、と思いながら、目を閉じた。



 ——堂本さんの「うちは隠すもんなんか、何もないですから」という言葉が、もう一度だけ頭の中で響いた。



 それを流して、目を閉じたままにした。

    • -

## シーン3補「岡本の坂道、夕方」

 摂津本山の改札を出ると、空の色が変わっていた。

 午前中はあんなに高かった青が、西の方から少しずつオレンジに押されていた。

 まだ夕方というには早いが、もう昼でもない。

 十月の光は変わるのが早い。

 岡本へ向かう坂道を上りはじめた。

 朝は下った道だ。

 同じ石垣、同じケヤキ並木。でも光の角度が違うだけで、見え方がずいぶん変わる。

 朝は葉の縁が薄く金色に光っていたが、今は幹の方に光が当たっていて、石垣の苔が濃く見える。

 同じ坂道が、少し違う場所みたいだった。

 歩きながら、今日のことを反芻した。

 丸岡康生社長の、穏やかな目。智香さんの几帳面な帳簿。整頓された倉庫、揃えられた台車、月ごとに綴じられた伝票。そして堂本さんの、人懐っこい笑顔。

 いい会社だった。

 本当にそう思う。



 ——うちは隠すもんなんか、何もないですから。



 堂本さんの声が、また一度だけ頭の中を通り過ぎた。

 自然な言葉だった。

 あの場の流れで出てくる、ごく普通の一言だ。

 隠しているものがある人間が言う台詞ではない。そもそも、何かを隠しているという根拠が何もない。

 帳簿は整っていて、伝票もある。現場もきれいだった。

 みつ子さんに言われた通り、ちゃんと確認してきた。

 それで十分だ。

 坂の途中で立ち止まり、振り返った。

 灘の方向、低い街並みの向こうに、海がわずかに光っている。

 曇っているわけでもないのに、どこかぼんやりとした光だった。

 何かが引っかかっている、とは思わなかった。



 ただ、歩き出すのに少し間があいた。
 それだけのことだ。


 坂を上りきると、事務所の白いタイルが夕方の光を受けていた。

 朝より少し黄ばんで見えるのは、光のせいだろう。表札の「能勢会計事務所」という文字が、いつもより小さく見えた気がした。

 引き戸を開けると、コーヒーの香りがした。

 それからみつ子さんの、草か花か、やわらかい何かの香り。

 まだいたのか、と思いながら靴を脱いだ。

「おかえりなさい、雅之くん」

 みつ子さんは窓際のソファで、今度は本を読んでいた。

 ティーセットはもう片付けられていて、テーブルの上には文庫本と、小さなガラスの一輪挿しだけが残っている。

「ただいま戻りました」

「どうでしたか」

 どうでしたか、と聞かれると、自然に「問題ありませんでした」と答えそうになる。

 でも少し間を置いた。

「いい会社でした。社長も、経理担当の奥さんも、倉庫のベテランも、みんな誠実な方で」

「そう」

 みつ子さんは本から目を離さないまま、短く言った。

 それきり、何も聞いてこなかった。

 何か言われるかと思っていた。

 損紙の確認はちゃんとしてきましたか、とか。現場の管理はどうでしたか、とか。

 でもみつ子さんはただ、文庫本のページをゆっくりとめくった。

 それが何を意味しているのか、このときの僕にはわからなかった。

    • -

## シーン4「数字の違和感」

 カバンを置いて、デスクに座った。

 今日の訪問記録をまとめようとノートを開いたが、手が止まった。

 みつ子さんは、まだ本を読んでいる。

 ページをめくる音だけが、静かな執務室に小さく響いていた。

 コーヒーメーカーのランプが赤く点いている。

 外の光が、少しずつ落ちていく。

 ノートに「丸岡印刷 初回訪問」と書いたところで、みつ子さんが本を閉じた。



 音もなく、ゆっくりと。



「雅之くん」

「はい」

「損紙の処分費、今日、画面で見たかしら」

「見ました。廃棄業者への支払いが、月ごとに」

「過去と比べて、どう見えた?」

 少し考えた。

「……そんなに大きな金額じゃなかったですね。突出してはいなかった」

「そうね」

 みつ子さんは静かに立ち上がった。

 みつ子さんがデスクに向かうのを、僕は少し意外な気持ちで見ていた。

 この人はいつも自分のペースで、こちら側とは違う速度で動いている。紅茶を蒸らし、本を読み、窓の外を眺める。

 同じ執務室にいながら、どこか別の場所にいるような人だ。

 それがいま、パソコンを開いてこちらへ画面を向けている。

 同じ地面に降りてきた、という感じがした。

「これを見てちょうだい」

 月次のデータが並んでいた。

 今年のものではない——五年前から現在まで、年次で並べた損紙処分費の推移だ。

 右肩下がりに、はっきりと落ちていた。

「……減ってる」

「半分以下ですわ」

 みつ子さんは画面の一点を指した。

「ここが五年前。ここが今年。でも、この間の売上高と印刷ジョブ数はどう?」

 別のシートに切り替える。

 売上の折れ線グラフ。ほぼ横ばいだ。

「変わってない」

「ええ。損紙は印刷量に連動して出るものでしょう。刷れば出る、刷らなければ出ない。でも印刷量が変わっていないのに、処分費だけが五年で半分以下になった」

 画面を見ながら、頭の中で今日の光景を思い出していた。

 整頓された倉庫。几帳面に綴じられた伝票。

「隠すもんなんか何もないですから」と笑った堂本さんの顔。

「堂本さんが、ちゃんと記録してると……伝票も見せてもらいましたし」

「記録してる、は残してる記録の話ね」

 みつ子さんは静かに、でも断言するように言った。

「存在しない記録は、記録されないものよ」



 一瞬、言葉の意味が飲み込めなかった。



 飲み込めた瞬間、背筋の辺りで何かが動いた。

 あの伝票は整っていた。日付も数量も、几帳面に書かれていた。

 でも、それは「ある記録」の話だ。

 そこに載っていない廃棄が、もしあったとしたら——伝票には何も残らない。

 確認しようがない。

 でも。



 あの堂本さんが。



 あんなに丁寧に案内してくれた人が。

「処分費だけが減る理由は、いくつか考えられる」

 みつ子さんは続けた。

「業者が変わって単価が下がった——それなら新しい業者との契約書があるはず。損紙の管理が改善された——でも印刷量が変わらないのに、ロスだけが五年で半分になるというのは」

「普通じゃない」

「普通ではありませんわね」

 静かな一言だった。

 否定でも断定でもない。ただ、事実として置かれた言葉だ。

 しばらく、誰も何も言わなかった。

 奥のドアが開いて、撫子さんが出てきた。

 いつからそこにいたのかはわからない。

「雅之くん、明後日もう一度、丸岡印刷さんに行ってもらえる? 今度は損紙の処分の流れを、数字を持って確認してきて」

「……はい」

「何もないかもしれない」

 撫子さんは穏やかに言った。

「でも、数字が何かを言おうとしているときは、聞いてあげるものよ」

 みつ子さんがパソコンを閉じた。

 カチ、という小さな音が、執務室に響いた。

 窓の外は、すっかり暗くなっていた。岡本の坂道に街灯が点っていて、ケヤキの葉が風に揺れるたびに、その影が揺れる。

 朝、あの葉の縁が薄く金色に光っていた。

 まだ何者でもない感じが好きだと思いながら、坂を上っていた。

 いい会社だと思っていた。

 堂本さんのことも、いい人だと思っていた。

 でも、数字は。



 五年で、半分以下。

来週から創作大賞というものの募集があるみたいなので、
note.com
AIで作っても問題ないのなら、応募してみようかな・・・。


※半年前、子供が火山を見たいと言っていたので、鹿児島の桜島へ。

もう記憶のかなたですが、子どもの頃の半年はきっと相当長いのでしょうね。50歳の半年はあっという間ですが。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

会計ミステリー第二弾を作ってみました

前回TALESに投稿した下記のお話が一応完結したので、
tales.note.com
余勢をかって(?)第二弾を作ってみました。
tales.note.com


神戸・岡本のレトロな洋館に事務所を構える「能勢会計事務所」。  


確定申告の繁忙期を終えたばかりの新人職員・鳥居雅之は、所長の無茶振りで新規顧客「株式会社市木エステート」の担当を任される。  


社長の市木裕は、神戸の下町・兵庫区大開で不動産業を営む叩き上げのワンマン経営者。「前の税理士は融通が利かない」と豪語し、増収増益の立派な決算書を武器に、強引に融資の相談を持ちかけてくる。


一見、順調に成長しているように見えるその決算書。しかし、事務所のエース税理士・絹延橋みつ子は、優雅にアッサムティーを嗜みながら冷徹に言い放つ。 「この決算書、美意識が足りなくてよ」


倒産寸前の現金残高にも関わらず計上された高級外車。売上の伸び以上に急増する「在庫(販売用不動産)」。


雅之はみつ子の指令を受け、在庫の実態を調査すべく神戸の街を奔走する。そこで彼が見たものは、帳簿上の数字とはかけ離れた「虚無」の光景だった。  


華やかな数字の裏に隠された、経営者の焦燥と悲しき不正のトリックとは――?


※主要登場人物
• 絹延橋 みつ子(きぬのべばし みつこ)
主人公(探偵役)。31歳。元上場企業経理の女性税理士。縦ロールの金髪にボルドーのリボンという浮世離れしたお嬢様ルックだが、腕は超一流。「美しくない」決算書を許さず、数字の整合性に異常な執着を見せる。無類の紅茶好き。


• 鳥居 雅之(とりい まさゆき)
語り手(ワトソン役)。29歳。入社2年目に入ったばかりの新人。お人好しで素直な性格ゆえに、所長やクライアントに振り回される苦労人。みつ子の手足となって現場調査を行い、真相へと近づいていく。


• 川西 撫子(かわにし なでしこ) 事務所の調整役兼司令塔。33歳。みつ子の先輩であり、税理士資格を持つ実力者だが、あえて黒衣に徹している。普段は「仏の撫子」だが、不正に対しては冷徹な「鬼の川西」に変貌する。無類の甘党で、神戸スイーツに精通している。


• 市木 裕(いちき ひろし)
ゲストキャラクター。38歳。「株式会社市木エステート」社長。兵庫区の下町出身で、水木しげるの立身出世に憧れ、成り上がりを目指すエネルギッシュな人物。見栄っ張りで脇が甘いが、どこか憎めない人間味を持つ。


生成AIとやり取りをしていると、何もないところからお話が湧き出して、あっという間にどんどん仕上がっていくので、つい時間を忘れて遊んでしまいますね。楽しい・・・。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

会計ミステリープロットの第二弾を作ってもらいました

前回作ってもらって、こちら
tales.note.com
に掲載した会計ミステリー小説ですが、作る過程が楽しく、調子に乗ってGemini先生に第二弾のプロットを作ってもらいました(^^;。

会計ミステリープロット案

タイトル案:『絹延橋みつ子の決算審美眼 〜その棚卸資産は美しくない〜』――会計探偵みつ子の事件簿②

0. 舞台・人物設定

舞台:能勢(のせ)会計事務所
阪急岡本駅から山手幹線沿いに少し歩いた場所にある、築五十年超のレトロな洋館風ビル。その三階に事務所を構える。クラシカルな外観はみつ子の趣味に合致しているが、設備は古めかしい。


絹延橋 みつ子(きぬのべばし みつこ)
主人公(探偵役)。31歳。元上場企業経理の女性税理士。
縦ロールの金髪にボルドーのリボンという浮世離れしたお嬢様ルックだが、腕は超一流。「この決算書、美意識が足りなくてよ」が口癖で、数字の整合性に異常な執着を見せる。
紅茶をこよなく愛し、事務所には専用のアンティーク・ティーセットと世界各国の茶葉を常備している。推理の前には必ず、その時の気分や案件の「味わい」に合わせた極上の一杯を所望する。


鳥居 雅之(とりい まさゆき)
語り手(ワトソン役)。29歳。入社1年目の新人。
お人好しで素直な性格。みつ子に振り回されながらも、持ち前のフットワークで現場を調査し、真相へと近づいていく。


川西 撫子(かわにし なでしこ)
事務所の調整役兼司令塔。33歳。
胸元まである黒髪は、流行りのゆるふわ巻きなどではなく、しっとりとした重みを残したストレートヘア。朝きちんと櫛を通したであろう清潔な髪が、邪魔にならないよう、ごく自然に左側で分けられている。
服装もまた、彼女の実直さを体現している。濃紺のシングルジャケットに、膝丈のストレートスカート。インナーは飾り気のない白のラウンドネックブラウス。足元は低いヒールの黒パンプス。
一見すればどこにでもいる「事務職の女性」の装いだが、その無駄のなさと、崩れのない着こなしからは、いかなる混乱の中でも決して揺らがないプロフェッショナルとしての「絶対的な安心感」が漂っている。
みつ子の紅茶の好みを知り尽くしており、絶妙なタイミングと温度でサーブする技術を持つ。また無類の甘党であり、激務の合間のティータイムを何よりの楽しみにしている。神戸界隈のスイーツ情報に精通しており、お茶請けのセレクトには並々ならぬ情熱を注ぐ。


市木 裕(いちき ひろし)
ゲストキャラクター。38歳。「株式会社市木エステート」代表取締役
神戸高速大開駅の近く(神戸市兵庫区)に本社を構える。地場の不動産屋での修行を経て独立し、営業力とバイタリティだけで会社を急成長させたワンマン社長。
「俺の才覚でここまでデカくした」が口癖で、自信過剰かつ見栄っ張り。常にハイブランドのスーツと派手な高級時計を身につけているが、どこか品がない。
基本的には「イケイケドンドン」の精神で、細かい事務作業やコンプライアンスを軽視する傾向がある。悪人というよりは、金に目がくらんだ俗物的な小悪党。

1. 導入:市木社長の強欲な相談

場所: 株式会社市木エステート(神戸高速大開駅近く) 社長室
時期: 2027年3月(第6期決算・確定申告終了直後)
登場人物: 市木裕、鳥居雅之


シーン: タバコの煙が充満する社長室。市木裕(38)が、刷り上がったばかりの決算報告書(第6期ドラフト)を机に叩きつける。


市木のセリフ:
「おい、新しい担当の鳥居ちゃんよ。前の税理士は頭が固くて融資の話が進まなくてクビにしたんだが……これを見てくれ」
市木は、先月末に申告を終えたばかりの決算報告書(第6期:2026年1月〜12月)を机に叩きつける。
「今期は売上2億1500万、営業利益もほぼ1000万だ。文句ねえだろ? オタクの事務所の力で、これを銀行に持ってきゃ、あといくら貸してくれる?」


状況:
市木は鼻息が荒い。前期(第5期)よりも売上・利益ともに伸ばした黒字決算書を武器に、「次のデカい土地」を買うための資金調達を急いでいる。前の税理士が作った決算書を、そのまま資金調達の道具として使おうとしている。


雅之の反応:
(うわぁ、いきなり借金の話か……。しかも前の先生が作った数字、パッと見はいいけど……)
初対面のごり押しに気圧されつつ、「持ち帰って先輩(みつ子)と精査します」と答えるのが精一杯。


キーアイテム: 読者に提示される「株式会社市木エステート 第6期 決算報告書」(作成済みのHTMLファイル)。

2. 展開:残酷なキャッシュフロー計算

場所: 能勢会計事務所 応接スペース
登場人物: 絹延橋みつ子、鳥居雅之、川西撫子


シーン:
レトロな洋館ビルの三階、アンティーク調の応接室。撫子が事務所の近くにある有名ベーカリーのカヌレと、香り高いダージリンセカンドフラッシュを運んでくる。
「ここのカヌレ、外側のカリカリ具合と中のモチモチ感のバランスが絶品なんですよ」と、撫子はうっとりとした表情で皿を置く。
みつ子はカップから立ち上るマスカテルフレーバーを優雅に楽しみ、雅之が持ち帰った決算書を電卓も叩かずに眺める。


みつ子の回答(借入可能性について):
雅之の「あといくら借りられますか?」という問いに対し、みつ子は即答する。
「理論上はゼロですわ。 ……いえ、普通の銀行なら、ですけれど」


概算キャッシュフローの解説:
みつ子はカヌレを一切れ口に運び、紅茶で口の中を潤してから冷徹に解説する。
「銀行が見るのは『返済原資』と『資産の健全性』ですの」


短期借入の原則:
「本来、不動産業の短期借入金(7,452万円)は、対応する在庫物件(8,542万円)が売れた代金で一括返済するものです。ですから、毎期の利益からコツコツ返す必要はございません」
雅之がホッとした表情を見せると、みつ子はぴしゃりと言い放つ。
「……在庫がまっとうな商品であれば、の話ですけれど」


在庫リスクとキャッシュフローの乖離:
「この会社の在庫は前期から約2,500万円も増えています。もし、この中に『売れる見込みのない在庫』が紛れ込んでいたらどうなります?」
「その分の借入金は、物件代金では返せません。結局、会社の利益(キャッシュフロー)で穴埋めするしかなくなりますの」


脆弱な返済能力:
「この会社の簡易キャッシュフロー(純利益429万+減価償却214万)は年間わずか約640万円。一方で、有利子負債総額は短期と長期を合わせて約1億1,400万円にも上ります」
「債務償還年数を計算すると約18年。長期借入金の返済だけで手一杯の状態ですわ」
「もし在庫の一部でも不良化して短期借入が返せなくなれば、即座に資金ショートします。銀行は『在庫の質』を疑い、追加融資どころか、既存の融資の回収を急ぐはずですわ」


みつ子の審美眼(真の違和感へ):
雅之が「黒字なのにそんなに評価が低いんですか…」と落ち込むと、みつ子の目が鋭くなる。
「……いいえ、雅之さん。問題はそこだけではございませんわ。この『18年』という数字さえ、虚構の上に成り立っているとしたら?」

「このB/S(貸借対照表)。……致命的に美意識が足りなくてよ」


決算書の謎解き解説:
みつ子は本題に入る前に、ある数字を指差す。


不相応な固定資産の増加:
「雅之さん、この『車両運搬具・備品』をご覧になって。前期約390万円から、当期は1,337万円へ。約1,000万円も増えていますわね」
キャッシュフローが600万円しかない会社が、1,000万円の車を買う。……これは経営ではありません。ただの浪費です。おそらく社長専用の高級外車でしょうね」
みつ子は不快そうに眉をひそめ、ソーサーにカップをカチャリと戻す。


P/Lの巧妙な偽装:
「そしてP/L(損益計算書)。売上高は前期比で約16%増、外注費も約20%増(4,300万→5,183万)。一見すると、事業拡大に伴ってコストも増えただけ……という正常な推移に見えますわね。前の税理士は、P/Lの見た目を整えることには腐心したようですわ」


B/Sへのしわ寄せ:
「ですが、化粧で隠しきれない汚れは全てB/Sに溜まります。『販売用不動産』が前期から約2,500万円も急増しておりますの」
「売上が好調なら在庫は減るはず。それなのに在庫が積み上がっている。これは、『当期に発生した外注費の一部が、売上原価として処理されずに、在庫という名の資産へ逃がされている』 可能性が高いですわ」


みつ子の指令:
「この2,500万円増えた『在庫』の内訳……どうやら一度に計上されたものではなく、毎月少しずつ積み上がっているようですわ。実体のない工事が繰り返されていないか、見てらして」

3. 調査:デスク上の矛盾と現地の真実

場所: 能勢会計事務所 / 市役所 / 造成地現場
登場人物: 鳥居雅之


机上調査(Google Earth Pro):
雅之はまず、PCで過去の衛星写真を確認する。
帳簿上、「A地区造成工事(第1回〜第12回)」 として、毎月定額の工事費が計上され続けている。
「……おかしい。1年間ずっと造成工事をしていることになっているのに、1年前の画像と比較しても、樹木の配置すら変わっていない」
毎月重機が入っているはずなのに、画面の中の土地は緑色のまま静まり返っている。


役所調査(開発登録簿):
雅之は確証を得るため市役所へ走る。
開発指導課の窓口で、該当地区の開発許可申請の有無を照会。
担当者「ええと……その地番での開発申請も、宅地造成工事の届出も出ていませんね」
長期にわたる造成工事には行政の許可が必須。それがないということは、「違法工事」か、そもそも「工事をしていない」かの二択しかない。


業者調査(建設業許可):
さらに、請求書にある施工業者「合同会社イノセント・プランニング」を国交省の検索システムで調べる。
「ヒットしない……建設業の許可を持っていない?」
毎月工事を請け負っているのに、建設業の許可がない。これはペーパーカンパニーの可能性が高い。


現地調査(写真撮影):
すべてのデータが「クロ」を示しているが、みつ子への報告には「目に見える証拠」が必要だ。雅之は社用車を走らせ、A地区の現場へ向かう。
そこには、1年かけて2,500万円がつぎ込まれたはずの土地があった。
しかし、目の前に広がるのは、背丈ほどもある雑草と、錆びた看板だけ。キャタピラの跡一つない。
「ここにあるのは、工事の跡じゃない……欲望の跡だ」
雅之は呆れながら、その「何もしなかった」静寂の光景をカメラに収める。

4. 転換:鬼の撫子と隠された動機

場所: 能勢会計事務所
登場人物: 絹延橋みつ子、川西撫子、鳥居雅之


報告:
「現地に行ってきました。衛星写真の通り、草一本刈られていません」
雅之はプリントアウトした衛星写真と、たった今撮ってきた現場写真を机に広げる。
「1年間ずっと工事中のはずなのに、役所に届け出もなく、現地は荒れ放題。完全に架空です」


撫子の情報収集(実務家モード):
撫子は表情一つ変えず、淡々と報告を聞く。そして机に「くしゃくしゃになった数枚の振込明細の控え」を置く。
「市木社長が先月、領収書の束が入った紙袋ごと資料を持ってこられましたよね。その中から、こんなものが混ざっていました」

それは、ダミー会社名義で行われた振込の控えだった。


日付:会社からイノセント社へ送金された翌日

振込人:カ)イノセントプランニング

振込先:カ)●●証券 および 高級クラブ「蝶」

金額:合計 220万円(内訳:証券口座へ200万円、遊興費20万円)


「社長はこれを『接待交際費』か何かの領収書と勘違いして、無造作に袋に放り込んでしまったのでしょう。イノセント社名義で作った証券口座への入金と、飲み代。合わせて220万円」
撫子は冷徹に続ける。
「イノセント社の登記も調べましたが、代表は奥様の親族。つまり、社長は架空の工事費名目で会社から資金を抜き、ペーパーカンパニー名義の証券口座に流し込んで、個人的な株式投資にのめり込んでいたのです」
「毎月200万……積立感覚で株につぎ込んでいたのでしょう。チリも積もれば2,500万円。決算書の在庫増加額とピタリと一致します」


みつ子の推理(真相の結合):
「なるほど。構図が見えましたわ。実に醜悪ですわね」

社長は株式投資で一発当てようとしていた、あるいは損失の穴埋めに追われていた。

会社から金を引き出したいが、役員報酬を上げれば税金がかかるし、銀行にも怪しまれる。

そこで、毎月架空の「造成工事費」を200万円程度計上し、ペーパーカンパニー経由で現金を抜いた(横領)。

しかし、その支払いを「費用」として処理すると毎月赤字が出てしまうため、「まだ販売していない物件の造成費用(仕掛品)」として資産計上し続けた。

粉飾の手口: 架空仕入(外注費)の資産計上による利益操作と横領。1年かけて積み上げたゴミの山ですわ。

5. クライマックス:美しくない数字への断罪

場所: 株式会社市木エステー
登場人物: 全員

対決:
「あと5,000万融資の件、どうなった! 銀行への説明資料はできたのか!」と怒鳴る市木。
みつ子は冷ややかな目で見下ろす。
「ええ、資料なら整っておりますわ。……ただし、御社の不正を明らかにする資料ですけれど。事ここに至っては、当事務所とのご契約、解除をお願いするしかございませんわね」


証拠の提示:
雅之が撮ってきた「手つかずの荒地」の写真と、撫子が見つけた「証券会社への振込控え」を突きつける。
「この荒れ地のどこに、毎月数百万円分の工事が行われたのですか? そして、イノセント社から証券会社への巨額の振込……会社の資金でマネーゲームに興じていらっしゃったの?」


市木の抵抗(開き直り):
「……! そ、それは……」
顔面蒼白になる市木。
「俺が作った会社だ! 俺の才覚でここまでデカくしたんだ! 会社の金をどう使おうが社長の勝手だろ! 株で儲かったら会社に戻すつもりだったんだよ! 文句があるならクビにしてやる!」
市木は激昂し、机を蹴り上げる。


みつ子の説得(断罪):
みつ子は一歩も退かず、扇子で机をバンと叩く。
「お黙りなさい! 会社は貴方のATMではありませんし、株式市場は貴方のカジノでもありませんわ! 従業員や取引先を欺き、架空の資産で決算書を飾り立てる……その行為は『経営』ではなく『詐欺』と申しますのよ!」
「それに、前期は手元に400万円しか現金がない状態で、よくも1,000万円以上の高級車を維持し続けられましたわね。貴方のその薄汚い見栄と虚栄心が、この決算書をここまで醜く歪めているのです!」
「美しくない数字は、やがて腐臭を放ちます。積み上げた嘘の山の下敷きになって、潰れるのは貴方自身ですわ」

6. 結末:再起への一歩

場所: 銀行の応接室(後日談)
登場人物: 市木裕、銀行担当者、能勢会計事務所一行


決着:
みつ子の追及により観念した市木。
架空計上された累計2,500万円の「販売用不動産」を取り消し、同額を「役員貸付金(社長への貸し金)」に振替処理。B/S上の資産総額は変わらないが、在庫の実体がないことが確定。
さらに、本来計上すべきだった過年度の費用修正などを行い、実態バランスシートは債務超過寸前であることが露呈する。
なお、証券口座の残高は信用取引の失敗でほぼゼロになっていた。


銀行交渉:
銀行担当者は激怒するが、ここで撫子(仏モード)が登場。
「社長は私財を処分して貸付金を返済する計画書を作成しました。また、当事務所が厳しく指導し、しっかり監督いたします」
極めて厳しい監視付きでの取引継続をなんとか取り付ける。
なお、この一件でリスク管理の手間が増えるとして、事務所の顧問料はちゃっかり倍額に改定されていた。


ラスト:
市木は高級時計も車も手放し、作業着姿で出直すことに。「一からやり直すよ……」と力なく笑う市木。
帰り道、みつ子が雅之に言う。
「雅之さん、次へ参りますわよ。数字は嘘をつきませんけれど、嘘つきは数字を利用して隠れますの。……本当に、美しくないお仕事でしたわ」
雅之「(今回は社長の自業自得だけど、経理チェックって怖いなぁ……)はい、行きます!」

7. エピローグ:甘くないクロワッサンと次なる謎

場所: 能勢会計事務所 / 神戸・岡本の街並み
登場人物: 絹延橋みつ子、鳥居雅之、川西撫子


後日談:
数ヶ月後。雅之は街回りの途中で、汗だくになりながら自社物件のチラシをポスティングする市木社長の姿を見かける。
高級スーツではなく、量販店のシャツとスニーカー。雅之と目が合うと、市木はバツが悪そうに、しかし以前より憑き物が落ちたような顔で会釈をした。
「(頑張ってくださいよ、社長)」
雅之は心の中でエールを送り、事務所への帰路につく。


事務所にて:
事務所に戻ると、みつ子がまた別のクライアントの試算表を睨みつけていた。
「雅之さん、遅いですわよ。……見て、この売掛金の回収サイト。美意識が微塵も感じられなくてよ」
また厄介な案件の予感に、雅之は肩を落とす。


ティータイム:
撫子が事務所の近くにある有名ベーカリーのミニクロワッサンを人数分皿に盛り、濃厚なアッサム・ティーを丁寧に淹れる。表面はサクサクで、中はもっちりとしたクロワッサンのバターの香りと、アッサムの芳醇なコクが、疲れた脳に染み渡る。
「焼き上がり時間を狙って並んだ甲斐がありました」と、撫子もとびきりの笑顔で頬張っている。
「数字は嘘をつかない。でも、それを扱う人間は嘘をつく」
「バターたっぷりのクロワッサンには、このくらいしっかりとしたコクのある紅茶が合いますわね」
みつ子はミニクロワッサンを一つ摘んで口に運び、優雅に微笑んだ。
「さあ、お茶にしましょう。次の謎が、わたくしたちを待っていますわ」

窓の外、六甲山系に沈む夕日が、レトロな洋館を美しく染めていた。

このプロットにおける決算書の役割

ご提示いただいたHTMLファイルの数字が、そのままトリックの伏線になります。

販売用不動産 95,428千円(前期比 +約2,500万)
→ この増加分の正体は、土地の仕入れではなく、架空の造成工事費(外注費)の積み上げ。毎月少しずつ架空計上され、1年で山となった実体のない資産。

短期借入金 74,520千円(前期比 +約2,000万)
→ 架空外注費を支払う(現金を抜く)ために、運転資金として借り入れたお金。

車両運搬具・備品 13,372千円(前期比 +約1,000万)
→ 前期の現預金が415万円しかないという倒産寸前の状況にも関わらず、当期に無理をして購入された高級車。資金繰りよりも見栄を優先する経営者の性格を表す。

当期純利益 4,294千円
→ 本来なら架空外注費は「横領損失」などで処理されるべきだが、それを資産計上することで隠蔽し、無理やり捻出した黒字。

適当なネタからそれっぽいお話をすぐに仕上げてくれるGemini先生と話していると、つい時間をどんどん盗られてしまいます(^^;。
まずい、ちゃんと仕事しないと・・・。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

AIと一緒にゲームって作れるのかな?

昨年noteというサイトで、「AIとやってみた」というお題で、AIと新しいことをやってみることを促すイベントがありました。


自分もとりあえずできるかなとマンガを作ってみたり、
note.com


小説を作ったり
tales.note.com
と色々やってみたのですが、今度はゲームって作れるのかなとちょっとチャレンジしてみました。


テキストベースだとハードル低いのかなと、中学生ぐらいに読んだ小説

に出てきていたシミュレーションゲームを作れるかなとGemini先生に聞いてみたのですが、すぐにそれっぽいものを作ってくれますね。


総理大臣になって、二・二六事件の後から色んな勢力の調整をしながら、太平洋戦争を回避するというゲームなのですが、

もっとちゃんと作れば、遊べるものができるのかも・・・


バランス・オブ・パワー」みたいなゲームが作れたらいいなあ・・・。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です