めちゃくちゃ面白かったです!
- 作者: 後藤孝典
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2009/11/02
- メディア: 単行本
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著者は弁護士さんで、タイトルの通り債務超過になっているような苦しい会社でも、会社分割を活用して再起を目指すということが主眼になっています。
会社分割といっても、この本が取り上げている分割は、分割元の会社に新会社または吸収会社の株式を交付するいわゆる「分社型分割」と「吸収分割」です。
このタイプの分割の場合、分割元の会社から分割先の会社へ資産と負債を移転する代わりに、分割先の会社がその差額相当額を株式として分割元の会社に交付することになります。
すなわち「資産−負債=株式」の等価交換の算式が成立するため、分割元の会社の純資産の変動はなく、そのため分割元の会社の債権者の利益を害することがないということが、基本的な考え方になっています。
逆に分割元の会社の株主に分割先の会社の株式を交付する「分割型分割」は、新株が分割元の会社に帰ってこないため純資産に変動を生じ、債権者への詐害行為になる危険性があることを指摘しています。
その上で具体的な活用方法が、いろいろと紹介されています。
たとえば経営者本人が、分割元会社の借入金の連帯保証をしている場合どうすべきなのか?
債権者の同意なくして分割した場合、その後の資金調達をどうするのか?
免許事業の場合、スムーズに許認可を受けて事業を継続するにはどうするのか?
などなど実際に行う場合の、注意すべき点が列挙されており、勉強になりました。
個人的には金融機関からの借入金が多い場合など、債権者の意向を無視したら債権者詐害行為で後々ややこしいことになるのではという先入観がありましたが、「資産−負債=株式」の等価交換である限り全然問題ないという著者の考え方は新鮮で、「言われてみればそうだなあ」とコロンブスの卵でした。
ただこれを実践する場合には、もちろん弁護士さんや司法書士さんなど専門家のアドバイスをもらう必要がありますね。