- 作者: 高任和夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/08/11
- メディア: 文庫
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規模ははるかに及ばないものの、私も一時期電子部品メーカーの債権管理の仕事をしていたことがありました。
そこで一番最初に教えられたのが、「Account Receivable Perishes.」すなわち「売掛金は腐る」ということです。
回収期日を一日にでも過ぎると売掛金は日々その価値を減じていくので、一日でも早く債権保全に動くことがこの部署の仕事という話を聞く度、小学生の頃読んだ果物のライチの話をダブらせていました。
本枝を離るるや、一日にして色変じ,二日にして香変じ,三日にして味変じ,四,五日にして外色,香味盡く去る
ライチは非常に日持ちが悪い果物ということで、枝から離れると一日単位でその品質が劣化していくということを示しているのですが、売掛金も同じようなものなのですね。
売り先にそれなりの事情があって支払いが遅れている場合には、もう売掛金の額面満額の回収はあきらめ可能な限り早く、多くの回収を図る。
ちょうど腐り始めたミカン箱の腐ったミカンだけを取り除き、食べられるものだけを取り出すといった作業にも似て、「売掛金は腐る」とは全く至言です。
小手先のテクニックからお客さんのさらに売り先を巻き込んだ法的手段まで、いろいろな回収の方法をやらせてもらいましたが、同時に会社の裏方部門の悲哀も垣間見ることができて、若いうちに面白い部門の仕事ができたなと今となってはいい思い出です。